失われたエンキの記憶:第10粘土板要約
(第10粘土板 要約)
不思議な密使がエンキの夢・幻覚に現れる。エンキは息子ジウスドラを通して人類を救うように告げられる。口実をもうけ、エンキは潜水艦を建造するようジウスドラに指示する。地球の生命の種を携えて、航海士が乗船する。ニビルの接近により「白い大地」(南極)の内陸の氷が滑り出す。その結果生じた大津波は地球を飲み込む。残ったアヌンナキは地球軌道上からその大惨事を嘆き悲しむ。水が退くと、ジウスドラの船は「救済の山」に漂着する。
「旋風」(ヘリコプター様の乗り物)に乗って降下したエンリルは、エンキの欺瞞を見出す。エンキは「全てのものの創造主」によって定められた運命であるとエンリルを納得させる。彼らは暫定的な基地として、残存している着陸台を使う。
「創造の部屋」で、穀物と家畜(畜牛)が形成される。豊富な金が「大洋の向こうの大地」(南米アメリカ)で発見される。新しい宇宙施設が昔の大地に建設される。2つの人工の小山とライオンの形をした彫刻物もそれには含まれる。
ニンマは生じつつある対抗意識を解決するため平和プランを申し出る。
- ■登録者:ノアの大洪水について
- 大洪水の知らせを受けた王ノアは、巨大な箱船を建造する。当時のニビル星の科学は現代よりも進んでおり、巨大な船の建造をエンリルが見逃すはずはない。また、先生が天上界最高次元の方々(古代シュメルの王族)からお伺いしたメモには、ノアの箱船プロジェクトを手伝ったのはエンキトニンフルサグとトートだけではなく、エンリルの長子ニヌルタや正妻の子等も手伝ったとありました。つまり、ノアの箱船プロジェクトはニビル星人が人類と地球の生命を救おうとした大規模な救出計画だったのです。だから、ノアが再び地上に降り立ち、神々に燔祭を捧げたとき、エンリルは人類が生き残っていることに怒りを発するはずはないのです。
本章以外にも、心正しき巨人族、山の頂上の洞窟で生き延びたのは、中南米のカイン一族他と、ポリネシア人の人々等々です。
- ■登録者:ニビル星接近時の地球の気象変動(記述、2013/11/10)
- 2013年3月、バンスターズ彗星が飛来しました。飛来直前に地震や火山の噴火などが有り、去って行くときに一時寒冷化しました(⇒[太陽フレア2013上半期]参照)。
現在、アイソン彗星が接近しています。近づくときには、温暖化、地震、噴火。そして去りゆくときには一時寒冷化します。太陽への最接近は、11月29日、1月18日頃に小惑星帯まで去って行きます。だから、十分に暖房の準備が必要です!(⇒[太陽フレア2013下半期]参照)。
尚、この傾向はニビル星においては顕著になります。現在の温暖化はこの前触れなのかも知れません。
(第10粘土板 本文)
シッパーに全てのアヌンナキが集まり、「大洪水の日」を彼らは待った。
緊張が高まりつつある頃のことだった、主エンキが部屋で眠っているとき、夢・幻覚を見た。その夢・幻覚の中にある男性の映像が現れた、天のように明るく輝いていた。その男がエンキに近づいた、その時それが白髪のガルズ(※登録者:白髪なのでニビル星人。ガルズはニビル星の守護神である。)であるのをエンキは知った。彼は右手に彫刻用の鉄筆を持っていた、
そして左手には滑らかで光輝くラピスラズリ(青金石)を持っていた。エンキのベッドの近くまで来たとき、ガルズは立ったまま次のように言った「エンリルに対する非難は当たっていません、彼は真実を語ったからです。それはエンリルの決定として知られるでしょうが、その決定は彼でなく運命が命じたものです。今度はあなたが自らの手の中に運命をつかみなさい、地球は地球人が継承するように。息子ジウスドラを呼び、誓いを破ることなく近づきつつある大災害のことを彼に明かしなさい。大津波に耐えられる船、潜水できる船を、この板に書かれてある通りに建造するよう彼に言いなさい。その船に、彼とその親類をその中に入れて救いなさい。そして役に立つ全ての種を、植物であれ動物であれ、一緒に運ばせなさい。これは「全てのものの創造主」の意志です。そしてガルズは、夢・幻覚の中で、ある画像を板の上に鉄筆で描き、彫られた板をエンキのベッドの横に置いた。」。そしてその人物が消えたとき、夢・幻覚も終わり、エンキは身震いしながら目を覚ました。
エンキはベッドの中に暫くの間そのままの状態でいた、夢・幻覚のことを不思議そうに考えた。どういう意味だろう、どういう前兆を示しているのだろう?。しかしベッドから起き出したとき、見よ、そこにはその板があった。夢・幻覚の中で見たものが今や彼のベッドのそばに物質化して(横たわって)いた!。主エンキは震える手でその板を取り、板に描かれている奇妙な形の船の設計図を彼は見た、板の端に寸法の記入があった、船の寸法が示してあった!。畏敬の念と希望に奮い立ったエンキは、早速、日の出を待つことなく密使を呼びにやった、ガルズという人を見つけよ、彼に話すことがある、そう彼らに言った。全員日没までには戻って来て、エンキに「ガルズを見つけた者は誰もいません、ガルズはずっと前にニビルへ帰還した」と、彼らは報告しました。エンキはひどく狼狽し、その不思議な事象と前兆を理解しようと努力めたが、その意味を彼は解明できなかった。だが、メッセージは明らかだった!。
その夜ジウスドラが眠っている葦の小屋へエンキは足を忍ばせた。エンリルの誓いを破ることなく、主エンキはジウスドラではなく小屋の壁に向かって話した。「目を覚ませ!目を覚ませ!」と葦の壁に向かって、エンキは葦の仕切りの背後から話した。ジウスドラがその言葉で目を覚ましたとき、エンキは彼に葦の仕切りの後ろから言った「葦の小屋、葦の小屋、私の言葉に耳を傾けよ、私の指示を良く聞け!。すべての住居の上に、すべての町の上に、恐ろしい嵐がやって来る、人類とその子孫の破滅が訪れる。これは最終決定、エンリルが召集した集会の言葉だ。これはアヌとエンリルとニンマによりなされた決定である。私の言葉に耳を傾けよ、今から話すメッセージに注目せよ。家を捨て、船を造れ、持ち物を捨てて、命を救え、あなたが造る船の設計と寸法は板の上に示されているので、葦の小屋の壁のそばにその板を私は残す。船には全体に屋根をつけなければならない、内側から太陽が見えないように。船の索具(さくく、船具の総称)はとても頑丈でなければならない。ピッチも水を寄せ付けないほど丈夫でしっかりしていなければならない。大津波を乗り切るために船はひっくり返っても(ひどく揺れても)大丈夫でなければならない。船は7日で造り、その中にあなたの家族と親類を集めなさい、船には食べ物と飲み水を貯え、家畜も入れなさい。それから、指定された日に、サインをあなたに送るので、海を良く知っている船の案内人(航海士)を私は指名する、その日に(彼は)あなたのもとへやって来る。その日にあなたは船に入り、ハッチをしっかり閉めなければならない。ものすごい大洪水が南の方からやってくる、大地も命も打ちのめされる。船は停泊場所から持ち上げられ、のたうち回るようになる。恐れるでない、その航海士が安全な場所にあなた方を導く、あなたによって文明化された人類の子孫は生き残る!。」。
エンキの声が途絶えたとき、ジウスドラは狼狽し、膝をつきひれ伏した。主よ!主よ!彼は叫んだ。あなたの声は聞こえます、お顔を見せて下さい。ジウスドラ、私はあなたに話しているのではない、葦の壁に私は話したのだ、そうエンキは言った。エンリルの決定により、全アヌンナキが宣言した誓いなのだから、私は拘束されている。もし私の顔を見るならば、あなたも他の地球人同様死ぬことになる。葦の小屋よ、私の言葉に耳を傾けよ、船の目的については、アヌンナキの秘密をあなたは守らなければならない。町の人々が尋ねたら、彼らに次のように言いなさい「主エンリルは私の主エンキに腹を立てている、アブズにあるエンキの住居に向けて私は航海する、エンリルがそれで怒りを和らげるかも知れないので」。
暫く沈黙が続いた。ジウスドラは葦の壁の後ろからやって来た、青金石の板が月光で輝いていた、彼はそれを(見て)取り上げた。船の図がそこには描かれてあった、刻み目が寸法を表していた。文明人の中でジウスドラは最も賢かった、言われたことを彼は理解した。朝、町の人々に彼は次のように宣言にした「エンリル様は私の主であるエンキ様に腹を立てていらっしゃる、そのためエンリル様は私をも憎んでおられる。この町に私はもう住めない、今後エディンにも行けない。アブズのエンキ様のお住まいに、私は船に乗って行くつもりだ。船を急いで造ってそれに乗って私はここを離れる、それでエンリル様の怒りも治まり、艱難辛苦も終わりになる、あなた方の上にはエンリル様の恵みが以後注がれるようになるだろう。」。
人々がジウスドラの周りに集まったのは昼前だった、彼のために急いで船を建造しようと彼らは互いに激励し合った。年長者たちは船建造用の木材を運んで来た、若者たちは湿地帯から瀝青(アスファルト)を運んだ。大工たちは木の板を打ちつけ、ジウスドラは釜で瀝青を溶かした。彼は瀝青で船の内と外を塗り防水し、板に描かれたような船が5日間で完成した。ジウスドラの出発を楽しみにしている町の人々は、船まで食べ物と飲み物を運んで来た、自分たちが食べるものでさえ彼らは持って来た、彼らはエンリルを早くなだめたかった。四つ足の動物たちも船に入れられた、野の鳥たちは自ら飛んで来た。ジウスドラは船にその配偶者と息子たちを乗せた、彼らの妻や子供たちもやって来た。エンキ様の住居へ行きたいものは、誰でも乗船できる、そうジウスドラは集まった人々に言った。皆エンリルの恵みを期待していたので、その
呼びかけに注意を払ったのは僅かの職人だけだった。
6日目に、「大洋の主」ニナガルが船を訪れた、彼はエンキの息子、船の航海士として選ばれた。杉の木の箱を彼は手に持っていた、船の中で彼はそれを自分のすぐそばに置いていた。その箱には生き物の生命要素と卵子が入っていた、主エンキとニンマにより集められたものだった、エンリルの怒りに触れないよう、時が来れば地球に命が蘇るようにするためだ、そうニナガルはジウスドラに説明した。このようにしてあらゆる獣が船の中に隠された。ニナガルとジウスドラは船の中で7日目の到来を待った。120シャー目に(人々は)大洪水を待った、ジウスドラの年令で10シャー目に大洪水が訪れた、獅子座の位置に大津波が現れつつあった。(※登録者:ノアが600歳の時に大洪水が訪れたので、1シャーは60年となる。)
■ノアの大洪水
これは地球を洗い流した大洪水と、如何にしてアヌンナキが(それを)逃れ、ジウスドラが船の中で如何に生き残ったかの説明である。
大洪水の前の数日地球では振動音が続き、苦痛のうめき声のような唸りを(地球は)上げた。大災害の起きる直前の何日間かは、夜にはニビルが輝く星のように見えた。昼は暗黒で、夜は月がまるで怪物に飲み込まれたかのようだった。地球は振動を始め、今まで経験したことのないような網の力にそれは動揺した。夜明けの光の中に、黒雲が地平線(水平線)に湧き上がった、朝の光は漆黒に変わり、まるで死の影により覆われたかのようだった。すると雷鳴がこだまし、稲妻が空を走った。
出発!出発!、ウトゥはアヌンナキに合図した。
天の船の中に乗り込んだアヌンナキは、天の方へ舞い上がった。18リーグ離れたシュルバクに、ニナガルは光り輝く噴出を見た。閉めよ!ハッチを閉めよ!、ニナガルはジウスドラに向かって叫んだ。彼らは一緒に引き戸を下に引きハッチを閉めた。船は完全に閉まっており水漏れの心配がなかった、内側には光は射し込まなかった。その日、その忘れられない日に、大洪水は轟音とともに始まった。地球の底にある「白い大地」では、地球の根底が揺れていた。それから千の雷鳴を合わせたような轟音を伴って、内陸の氷が滑り出した、今まで経験したことのないようなニビルの網の力で引きずり出され、南の海に雪崩を打った。内陸の氷は次から次へと崩れ落ち、「白い大地」の表面は割れた卵の殻のように崩れてしまった。
たちまち大津波が生じ、水の壁は天にまで届いた。前代未聞の激しい嵐が、地球の底から唸り声を上げ、その風は水の壁を運び、津波は北の方向へ広がって行った、水の壁は北へ向かって突進し、アブズの地に到達した。そこから更に入植地へ向かってそれは進み、エディンを圧倒した(飲み込んだ)。水の壁である大津波がシュルバクに達したとき、ジウスドラの船は停泊地から持ち上げられ、放り投げられ、いわば水の奈落の底へそれは飲み込まれてしまった。完全に浸水したが、船は頑丈で、一滴の水も中には入らなかった。外では荒れ狂う波が死者の多い戦闘のように人々をなぎ倒し、人間は誰も見えず、大地は消失し、水だけがあった。かつて地上に立っていたものは全て強い水の力で洗い流されてしまった。その日が終わる前に水の壁は速度を増し、山々をも凌駕してしまった。
アヌンナキは天空の船で地球の周りを回っていた。彼らは部屋の中に群がり、しゃがんで外側の壁に寄りかかり、眼下の地球で起きていることを、目を凝らして見ていた。ニンマは天空の船の中で、陣痛の女性のように叫び声を上げ嘆き悲しんだ「私の造ったものが池に溺れるとんぼのように水の中に沈んでしまった、全ての生命が荒れ狂う波によって洗い流されてしまった!」。彼女と一緒にいたイナンナも嘆き悲しんでいた「眼下のものは全て、命あるものは全て、粘土に変わってしまった!」。このように言いながらニンマとイナンナは泣いた、彼らは泣くことにより感情を和らげた。
他の天空の船ではアヌンナキたちが怒り狂う光景を見て謙虚な気持ちになっていた、その時彼らは自分たちよりも強い力を畏敬の念を持って見つめていた。彼らは地球の果物を食べたかった、発酵させた霊薬を飲みたかった。昔の時代は、見よ、粘土に返ってしまった!と、そうアヌンナキは互いに言い合った。巨大な大津波が地球を襲った後、天の水門が開き、突然天から地上にもの凄い水が降り注いだ。7日間、上からの水と「偉大な下」(訳注:南極大陸)の水とが混ざり合った。それから水の壁はその限界に達し、その殺戮を止めたが、空からの雨は更に40日40夜降り続いた。アヌンナキは座席から下を見下ろしていた。以前乾いた土地だった所が今では海になっていた、かつてその頂を天までそびやかしていた山々、その頂は今では島のように海の中に(浮かんで)いた。そして乾いた地に生きていた物はすべて大津波の中に滅びてしまった。
それから水は、最初の頃のように、窪みの中に集められていき、前後に揺れながら、日毎に水位が下がっていった。40日の後ジウスドラは船のハッチを開け、自分の居場所を調べた。明るい日だった、そよ風が吹いていた。船だけが広漠とした大海に漂っており、その他には命あるものの気配は全くなかった。人類、命あるもの全てが、地表から洗い流されてしまった、我々数少ない人数以外は誰も生き残らなかった。しかし足を降ろす(ことのできる)乾いた地はまだない、そうジウスドラは親類たちに言い、座して嘆いた。
その頃エンキが指名したニナガルは、船をアッラタ(訳注:アララテ山)の双子の頂の方に向けていた、船のために彼は帆を作り、「救いの山」(訳注:アララテ山頂)の方へ船を導いた。ジウスドラはしびれを切らし、船の中にいた鳥を彼は放した、乾いた地を調べるため、生き残った植物を知るために彼は鳥を送った。
彼は燕を送った、彼は烏を送ったが、2羽とも船に帰って来た。
彼は鳩を送った、木の小枝を持ってそれは船へ帰って来た!。それでジウスドラは乾いた地が水の下から現れたのを知った。
更に2、3日経ち、船は岩に引っ掛かった。大洪水は終わった、我々は今「救いの山」にいる!、そうニナガルはジウスドラに言った。防水ハッチを開けて、船からジウスドラが現れた。晴れていた、太陽が輝いていた、そよ風が吹いていた。彼は配偶者と子供たちに急いで外に出るよう叫んだ。エンキ様を褒め称えよ、感謝を捧げよ!、ジウスドラは彼らに言った。
彼は息子たちと共に石を集め、彼らと共に祭壇を築き、それから祭壇に火をともし、芳香性のある香で火を起こした。傷のない雌の子羊を、燔祭のために選んだ、そして祭壇の上にその雌の子羊をエンキへの生けにえとして捧げた。
その頃エンリルは天空の船からエンキへメッセージを送っていた「天空の船から「旋風」に乗ってアッラタの頂に降りよう、状況を調査し、今後どうすべきかを決めるために!」。他の人たちは天空の船で地球の周りを回り続けている間に、エンリルとエンキは「旋風」に乗ってアッラタの頂に降りた。微笑みながら2人の兄弟は会い、喜んで彼らは腕を組み合わせた。その後エンリルは火と肉の焼ける匂いに困惑した。何だ?兄に向かって彼は叫んだ、大洪水を生き残った者が誰かいるのか?見に行こう!。彼にエンキは優しく応えた。彼らは「旋風」に乗ってアッラタのもう一つの頂に飛んで行った、彼らはジウスドラの船を見た、彼が作った祭壇の近くに彼らは着陸した。エンリルは生き残った者たち、そして彼らの中にニナガルを見たとき、この上なく激怒した。地球人は全員滅びるはずだった!と、彼は怒鳴った。彼は怒ってエンキの方に突進した、彼は素手で兄弟を殴り殺さんばかりの勢いだった。彼は普通の人間ではない、私の息子でもある!。エンキは、ジウスドラを指差しながら、叫んだ。エンリルは少しの間躊躇した。あなたは誓いを破ったと、彼はエンキに向かって怒鳴った。私は葦の壁に向かって話した、ジウスドラにではない!と、エンキは言い、それから夢・幻覚をエンリルに語った。その頃までに、ニナガルの警告を聞いたニヌルタとニンマも「旋風」で着陸した。ニヌルタとニンマは、その説明を聞いたとき腹を立てなかった。人類の生き残りは「全てのものの創造主」の意志に違いありません!、そうニヌルタは父親に言った。ニンマは、アヌの贈り物である結晶のネックレスに触れて誓った「人類の絶滅は、誓って繰返しません!」。心を和らげたエンリルは、ジウスドラと彼の配偶者Emzara(エムザラ)の手を取り祝福して言った「産めよ増えよ、地に満ちよ!」。このようにして昔の時代は終わった。
■これは如何に地球が回復したか
そして如何に大洋の向こうに、他の地球人たちと金の鉱脈が見つかったかの説明である。
アッラタでの出来事のあとも大洪水の水は減り続けた、そして地球の表面が次第に水の下から顔を覗かせた。
山間部の土地はほとんど無傷のままだったが、渓谷は泥で埋まっていた。
アヌンナキは天空の船と「旋風」で眼下の状態を調査した。古い時代にエディンとアブズにあったものは全て泥の下に埋まっていた。エリドゥ、ニブルキ、シュルバク、シッパーは全て無くなっていた、完全に消失していた。しかし「杉の山」にある大きい石のプラットフォームは太陽の光に輝いていた、古い時代に造られた着陸場は、そのまま立っていた。「旋風」が次々とプラットフォーム上に着陸した。プラットフォームは以前のままだった。発射コーナーには巨大な石のブロックがいくつかそのままの状態で残っていた。瓦礫や木の枝を取り除いたあと、最初の戦車に着陸合図が出された。天の戦車が次々にやって来て、プラットフォームに着陸した。それからラームにいるマルドゥクと月にいるナンナルにメッセージが送られ、そして彼らも地球に戻り、着陸場に降り立った。
このようにして集められたアヌンナキとイギギをエンリルは集会に呼んだ。我々は大洪水を生き延びた、しかし地球は荒廃している!、そうエンリルは彼らに言った。復旧のための方法を全て考慮しなければならない、地球でも、その他の場所でも!。
ラームもニビルの通過により荒廃している!、そうマルドゥクは言った。大気は吸い取られてしまい、水はその後蒸発し、砂嵐の場所と化している!。月はそのままでは命を維持できない、鷲のマスクを付けてのみ滞在が可能だ!、そうナンナルは他の人たちに説明した。それから魅了されたように付け加えた「かつてそれは、ティアマトの衛星のリーダーだったことを我々は思い出さねばならない、それは地球の伴侶であり、地球の運命はそれと(密接な)関係にある!」。エンリルは愛情深く息子の両肩に腕を置いた。今我々に関心があるのは生き残りだ!。そうエンリルはナンナルを優しく諌めた、今最も関心があるのは食事だ!。封印されている「創造の部屋」を調べてみよう、ニビルの種をもしかしたら見付けられるかも知れない、そうエンリルはエンキに言い、かつて創造した穀物のことを彼に思い出させた。プラットフォームの横で、いくらかの泥を取り除くと、ずっと以前の取っ手を彼らは見つけた、それを塞いでいる石を持ち上げ、彼らは聖所に入って行った。
閃緑岩の箱は封をされていた、彼らはその封を銅の鍵で開けた。箱の中に結晶の容器があり、ニビルの穀物の種がそこにはあった!。エンリルは外に出ると、ニヌルタにその種を与え、彼に次のように言った「山の近くのテラス(段々畑)へ行きなさい、ニビルの穀物でもう一度パンを得よう!」。「杉の山」や、その他の山々でも、ニヌルタは滝をせき止め、テラスを造り、ジウスドラの長男に穀物の育て方を彼は教えた。エンリルは一番下の子供イシュクルに、別の任務を与えた。水が退いた所へ行き、残っている果物の木を見つけよ!。彼には果物の栽培者としてジウスドラの一番下の息子が割り当てられ、彼らは最初の果物を見つけた、それはニンマが持って来たぶどうの木だった。
アヌンナキの霊薬として良く知られているその果汁を、ジウスドラはすすった。一口すすり、又すすり、更にすすった、ジウスドラは圧倒され、酔いどれのように眠りこけてしまった!。それからエンキはアヌンナキと地球人たちに贈り物のことを告げた。ニナガルが携帯していた箱のことを彼は打ち明け、驚異的なその中身を皆に発表した。生命要素と卵子を、ジウスドラの船から(出て来る)四つ足動物の胎内で組み合わせることができ、羊毛と肉のために羊を殖やし、ミルクと毛皮のために牛を我々は得る、それから他の生き物で我々は地球を満たすようになる!(訳注:この文章から考察すると、今まで何度も出てきた「生命要素」は「精子」と解釈できる。)。エンキはドゥムジに牧羊の任務を与え、ジウスドラの真ん中の息子に手伝わせた。それからエンキは、彼と彼の息子たちの領域であった黒い色の大陸(訳注:アフリカ大陸)へ、注意を向けた。
彼はニナガルと共に、山々の力強い流れが合流する場所に水をせき止め、激しく(流れる)滝を湖へ導き、河川の水が湖に溜まるようにした。それから彼はアブズと「偉大な海」(訳注:地中海)の間をマルドゥクと一緒に調査した、以前集落があった場所にある渓谷の水をどうしたら排水できるか、彼は考えた。水が滝のように流れている中流に、彼は川の水から島を一つ持ち上げた。(そして)その底に2つの同じサイズの穴を掘り、その上に石で水門を造った。
そこから岩の中に彼は2つの水路を削り、川の(流れ)のために2つの狭い部分を造った、このようにして高地から流れて来る水(の速度)を彼は遅くすることも速くすることも可能になった。ダムと水門と2つの狭い部分で彼は川の流れをコントロールした。アブ島と呼ばれるその穴のある島により、蛇行している渓谷が水の下から持ち上げられた。エンキは「2つの狭い部分のある土地」(訳注:ナイル川沿いの土地)にドゥムジと羊飼いたちのために住居を造った。(訳注:この辺りは具体的にどういう土木工事が行われたのか釈然としない。)
エンリルは満足し、それを全てニビルへ報告した、ニビルからは心配そうな言葉が返ってきた。
惑星の接近により、地球とラームはニビルにひどい損害を与えた。金粉の覆いは引き裂かれ、再び大気が減少しつつある、新たな金の供給が早急に必要とされている!。早速エンキはアブズへ行き、息子のギビルと共に調査の旅に出発した。金鉱は全て無くなっていた、大津波で埋没してしまった。エディンには、もはやバドティビラは存在していなかった、シッパーには戦車場はもうなかった。鉱山とバドティビラで働いた何百人ものアヌンナキは、地球を去ってしまった、原始労働者として働いた膨大な数の地球人は、大洪水により粘土に変わってしまった。金は地球からはもう提供できません!、そうエンリルとエンキはニビルへ報告した。地球でもニビルでも必死だった。
その頃ニヌルタは、杉の山での任務を完了し、大洋の向こうの山間の地へ再び旅行した。地球の反対側にあるその土地から、彼は驚くべきニュースを送ってきた。大津波は山腹を深く削り取り、その山腹から無数の金が、大きい金塊も小さい金塊も、下の川へ落ちています、採掘しないでも金を運ぶことができます!。
エンリルとエンキは遠くの山間の地へ急いだ、彼らは驚嘆してその発見を見た。精製も精錬も必要としない金、純金、それが全てそこに横たわっていた!。奇跡だ!そうエンキはエンリルに言った。ニビルにより行われたことがニビルにより修正された!。目に見えない「全てのものの創造主」の手がニビルの生活を可能にした!そうエンリルは言った。誰がその金塊を集めるのか、どうやってニビルへそれを運ぶのか?指導者たちは互いに尋ね合った。
最初の疑問に対して、ニヌルタが応えた「この辺りの高い山間の地に生き延びた地球人が何人かいます!。彼らはカ・インの子孫です、金属の扱い方を彼らは知っています。4人の兄弟と4人の姉妹が彼らの指導者です、彼らはいかだで自らを救いました。山の頂上の大きい湖の真ん中に島があります。彼らは私が彼らの先祖の保護者であることを覚えています、彼らは私を「偉大な保護者」と呼びます!」。他の地球人たちが生き残っていたという報告に指導者たちは元気付けられた、全ての生き物の終わりを計画したエンリルでさえ、もはや腹を立てなかった。「全てのものの創造主」の意志だと彼らは互いに言い合った。
天の戦車場を新たに建設しよう、そこから金をニビルへ送ろう!。乾いて土壌が固くなった新しい平地を彼らは探した。着陸場の近くの荒廃した半島に、彼らはそういう平地を発見した。それは静かな湖のように平らで、白い山々で囲まれていた。
■ピラミッドとスフィンクス
これは新しい「天の戦車場」と、人工の双子の小山の説明、そして獅子の似姿が何故マルドゥクにより侵害されたかの説明である。
アヌンナキが選んだ半島に、天のアヌの道とエンリルの道が地球に反映された。(訳注:エンリルの道は北緯30°以北、アヌの道は北緯30°から南緯30°までですから、「天のアヌの道とエンリルの道が地球に反映された」地点とは北緯30°のことでしょうか?因みにエンキの道は南緯30°以南です。)
新しい「戦車場」を正確にその境界線上に配置しよう、平地の中心に天を反映させよう!、そうエンリルはエンキに提案した。エンキがそれに賛成すると、エンリルは空から距離を測定した。板の上の大設計図に彼は印を付け、誰でも見られるようにした。「杉の山」の着陸場をこの設備の一部としよう、彼は言った。着陸場と戦車場の間の距離を彼は測定し、その中心に新しい宇宙管制センターの場所を彼は指定した。そこに彼は適切な小山を選び、「道を示す山(訳注:モリア山)」と名付けた。(訳注:モリア山はギルガメッシュが旅した秘密の場所で有り、アブラハムがイサクを燔祭に捧げようとした所です。)
着陸場に似ているがそれよりも小さい石のプラットフォームを、そこに建設するよう彼は命じた。その真ん中に大きい岩がくり貫かれた、新しい「天地の絆」を収納するためそれは造られた。新しい「地球のへそ」(訳注:宇宙管制センターのこと)、大洪水以前のニブルキの役割に代わるため。北のアッラタの双子の頂に着陸の道が固定され、「着陸用制限通路」の境界線を決めるため、エンリルは双子の頂をあと2セット要求した、「着陸用制限通路」の境界を設定して上昇・下降を安全にするため。南の荒廃した半島の山間の場所に、エンリルは双子の隣接した頂を選び、その上に南の境界線を彼は固定した。
2セット目の双子の頂が要求されている場所には、山は何もなかった、停滞した水の渓谷の上に平地が突き出ているだけだった。人工の頂をその上に造れます、そうニンギシュジッダは指導者たちに言った。滑らかな側面を持ち天に向かって聳えている頂を、彼は彼らのために板の上に描いた。それが可能であれば、そうしなさい、エンリルは承認した。それらを信号灯としても使おう。
渓谷の上の平らな地に、ニンギシュダッタは等寸法の小型モデルを造った、上昇角度と滑らかな4面を彼はそれで完成させた。その隣に更に大きい頂を彼は置き、その側面(又は辺)を地球の4隅に合わせた。アヌンナキが力強い道具使って石を切り、それを建造した。その隣に、正確な位置に、彼は双子のもう一つの頂を置いた。鼓動する結晶用に彼は回廊や部屋を設計した。この人工の頂が天に向かって建てられると、その上に冠石を載せる(式典の)ために指導者たちが招待された。頂上の石はギビルが合成したエレクトラム(琥珀金[
訳注:金と銀の合金])でできていた。地平線の日光をそれは反射し、夜は火の柱のようだった、それは全ての結晶の力を天へ向けて一本の光線の中に集中していた。ニンギシュジッダが設計した芸術作品が完成し準備が整うと、アヌンナキの指導者たちは偉大な双子の頂に入り、その光景に驚嘆した。「山のような家」という意味で、それらはEkur(エクル[訳注:ギザのピラミッド])と名付けられ、それは天への信号灯だった。それはアヌンナキが大洪水を生き延び永遠に勝利したことを宣言していた。新しい天の戦車場は大洋の向こうから金を受け入れることができるようになった、そこから戦車でニビルへその救いのために金を運ぶため、指定された日に、そこから太陽が上がる東の方へそれは上昇し、指定された日に、そこに向けて太陽が沈む南西の方へそれは下降する。
それからエンリルは自らの手で
ニビルの結晶を作動した。内部で不思議な光が点滅し始め、ブーンという音が更に大きくなり静寂を破った。外側では冠石が突然輝き出した、太陽の光よりそれは明るかった。集まっていたアヌンナキの群衆は大歓声を上げた。ニンマは、その光景に感動し、詩を読み歌った。
山のような家、尖った頂を持つ家、
天と地のために備えられ、アヌンナキの手で造られた。
明るさと暗さの家、天と地の家、
天空の船のために集められ、アヌンナキにより建てられた。
内部に天の赤い光が輝いている家、
遠く高くまで放つ鼓動する光;
聳え立つ山の中の山、偉大に聳える人工の山、
それは地球人の理解を超えている。
装置の家、偉大な永遠の家。
その基盤の石は川の水に触れ、その大きい周辺は粘土の中に納まっている。
各部分が巧みに織り合わされた家、
空で周回している偉大な者たちが下降し安息する所、
ロケットにの標識となり、測り知れない内部を持つ家、
アヌ自身により祝福されたエクル。
このようにニンマは祝典で暗唱し歌った。
アヌンナキが彼らの偉大な作品を祝っている間に、エンキはエンリルに提案した、将来次のような疑問が起きるであろう、いつ誰がこの素晴らしいものを造ったのか?。そのとき(のために)、双子の頂の横に記念碑を一つ造ろう、獅子の時代を宣言しよう、
その顔は、頂の設計者であるニンギシュジッダの似姿にしよう、それは正確に天の戦車場の方向を見るようにしよう、そうやって、時、人、そして目的を後の世代の人たちに明らかにしよう!、そうエンキはエンリルに提案した。その言葉にエンリルは同意し、エンキに言った「天の戦車場の司令官は、再びウトゥでなければならない、正確に東を見つめている獅子の像を、ニンギシュジッダの似姿としよう!」。
基盤の岩から獅子の像を削り取っている作業が続いているとき、マルドゥクは父エンキに苦情を漏らした「全地球を支配する(権利を)私に約束して下さったではありませんか、今では指揮権も栄光も他の者に与えられています、私には何の任務も支配権も残されていません。私の以前の領地には人工の小山があります、獅子は私の似姿でなければなりません!」。
このマルドゥクの言葉にニンギシュジッダは腹を立て、他の息子たちも不快感を抱いた、領土に関する騒ぎにニヌルタやその兄弟たちも刺激された、自分たちの土地と献身的な地球人を誰もが要求していたからだ。祝いを対抗意識に変えてはいけない!、喧騒の中でニンマは叫んだ。地球は今も恐慌状態です、アヌンナキの数は僅かで、地球人も生存者しかいない。マルドゥクはニンギシュジッダの栄誉を剥奪すべきではない、(しかし)マルドゥクの言葉にも耳を傾けよう!。そう調停者ニンマは争っている指導者たちに言った。
平和を保つため、棲息可能な土地を我々の間で分けておくべきだ、エンリルはエンキに言った。半島を争いのない仕切り(緩衝地帯)にすることに彼らは合意し、調停者のニンマにそれを割り当てた。「ミサイルの土地」という意味でTilmun(ティルムン[訳注:シナイ半島の一部])と彼らはそれを名付けた、地球人は立ち入り禁止区域だった。
その東の棲息可能な土地がエンリルとその子孫に割り当てられた、ジウスドラの2人の息子、Shem(シェム[訳注:聖書のセム])とYafet(ヤフェット[訳注:聖書のヤペテ])の子孫がそこに住むため。
アブズを含む黒い色の大陸はエンキと彼の一族の領土として与えられ、ジウスドラの真ん中の息子Ham(ハム[訳注:聖書のハム])の子孫がそこに住むよう選ばれた。マルドゥクを彼らの主、彼らの土地の主人にするよう、エンキは息子の気持ちを和らげるため提案した。あなたがそう願うならそうしよう、エンリルはエンキに言った。
ティルムンの山の多い南の地に、ニヌルタは母ニンマのために住居を建設した。それはナツメヤシの木が生えている泉の近く、緑の多い渓谷に位置していた、山の頂にニヌルタはテラス(段)を造り、ニンマのために香りの良い植物を彼は植えた。このようにして全てが完了したとき、地球の全前哨地点に合図が送られた。大洋の向こうの山間の地から「旋風」が金塊を運んで来た、その金は天の戦車場からニビルへ運ばれた。その記念すべき日にエンリルとエンキは互いに語り、調停者ニンマにその栄誉を称え新しい名前を付けよう、「山の頂の女主人」という意味でNinharsag(ニンハルサグ)と彼女を名付けよう!。大歓声と共にニンマに栄誉が授与され、それ以降彼女はニンハルサグという名前で呼ばれるようになった。地球の調停者ニンハルサグを称えよ!、全員一致でアヌンナキは宣言した。
(第10粘土板の終わり)