失われたエンキの記憶:第11粘土板要約
(第11粘土板 要約)
宇宙港の地ティルムンは中立地帯と宣言される。それはニンフルサグと改名されたニンマに授けられている。
マルドゥクは黒い色の土地、エンリル一族は古い土地を得る。
マルドゥクの孫たちが争いSatu(サトゥ)がAsar(アサル)を殺害する。自分一人の力で妊娠したアサルの妻Asta(アスタ)はHoron(ホロン)を産む。ティルムン上空の空中戦でホロンがサトゥを打ち負かす。
エンリルの一族は宇宙港をもう一つ準備すべきだと考える。
エンキの息子ドゥムジとエンリルの孫娘イナンナは恋に落ちる。結果を恐れたマルドゥクが、ドゥムジの死の原因となる。彼の行方を探すイナンナは殺害され、それから生き返る。イナンナはマルドゥクを捕らえ処罰する意図を持って戦争を開始する。エンリル一族は「大いなる山」にある彼の潜伏場所に侵入する。彼らはマルドゥクを生き埋めにするため最上階の部屋を封印する。マルドゥクの妻サルパニットと息子Nabu(ナブ)は彼の助命を請う。その「山」の秘密を知るニンギシュジッダはマルドゥクの所に到る。助命されたマルドゥクは亡命する。
エンキとエンリルは彼らの他の息子たちのために地球を分割する。
(第11粘土板 本文)
地球の調停者ニンハルサグを称えよ!、全員一致でアヌンナキは宣言した。大洪水のあと最初のシャーの期間に、ニンフルサグは人々の感情を静めることに何とか成功し、金をニビルに再供給することの方が野心や競争意識より優先された。
地球には少しずつ生命が増え始めていた、エンキが保存した生命の種によって。自らの力で生き残ったものは地上にも空気にも水にも数を増やしていた。その中で最も貴重だったのは人類自身の生存だった!。原始労働者が創造された昔の時代のように、数が少なく緊張の多いアヌンナキたちは今では文明化された労働者を求めて騒いでいた。
大洪水のあと最初のシャーが終わる頃、平和な休戦状態が予期せぬ出来事により破られてしまった。その突発事件はマルドゥクとニヌルタの間でも、エンキ一族とエンリル一族の間でもなかった。
マルドゥク自身の息子たちにより、イギギの援助を伴って、静寂が破られた。
マルドゥクとサルパニットとその息子・娘たちがラームで大洪水の終わりを待っているとき、2人の息子Satu(サトゥ)とAsar(アサル)は、イギギの指導者であるShamgaz(シャムガズ)の娘たちを好きになった。彼らが地球へ帰還したとき、2人の兄弟は2人の姉妹と結婚した、アサルはAsta(アスタ)という人を選び、サトゥはNebat(ネバット)という人と結婚した。アサルは、父親マルドゥクと共に黒い色の土地に住む道を選んだ。サトゥは、イギギが住んでいる着陸場の近くに、シャムガズと共に住居を構えた。シャムガズは地球の領土に関心があった、イギギはどの場所で主人になるのか?、そうシャムガズは他のイギギを扇動した。シャムガズと娘のネバットはサトゥに毎日繰り返し話した「父親と一緒に住んでいるので、アサルだけが継承者になるだろう、肥沃な土地を彼は受け継ぐだろう」。サトゥの手にだけ継承権を受け継ぐ方法を父と娘は企てた。縁起の良い日に彼らは宴会を催した、イギギとアヌンナキをその宴会に彼らは招待した。アサルは、疑わないで、兄弟と共に(その日を)祝うためにやって来た。彼の配偶者の姉妹であるネバットはテーブルを準備し、足載せ台も準備した。彼女は着飾り、リラ(竪琴)を手に持ち力強いアサルのために歌を歌った。サトゥは彼の前で選りすぐりのロース肉を切った、塩をつけたナイフで肥えた肉を(切り)彼に供した。シャムガズは大きい酒盃に新しいぶどう酒を注ぎアサルに提供した、彼のためにカクテル(混合酒)を作った、大きくて力強さを感じさせる容器に、霊薬のぶどう酒を入れて彼に差し出した。アサルは機嫌が良かったので、楽しそうに立ち上がり歌を歌った、シンバルを手に持ち歌った。それから彼は混合酒(の力)に打ちのめされ、倒れた。ゆっくり休んで頂こう、主催者たちは宴会に集まった人々に言った。彼らはアサルを別の部屋に運び、棺の中に彼を入れた、彼らはその棺をしっかりと封印し、海に投げ捨てた。その出来事がアスタの耳に達したとき、彼女は夫の父であるマルドゥクに嘆き悲しんで言った「アサルは海の底に投げ捨てられ殺されました、早く棺を見つけて下さい!」。彼らは海でアサルの棺を捜し、黒い色の土地の海岸でそれを見つけた。中に硬くなったアサルが横たわっていた、命の息はその鼻の穴から去ってしまっていた。マルドゥクは衣服を引き裂き、額に灰をかけた。息子よ!息子よ!サルパニットは泣き叫んだ、彼女の嘆きと悲しみは大きかった。
エンキは気が動転し泣いた、カ・インの呪いが繰返された!、彼は息子に苦悶しながら言った。アスタの嘆きは高い天にまで達した、マルドゥクに復讐と跡継ぎを嘆願した。サトゥは死ななければなりません。あなた自身の種で私に跡継ぎを身ごもらせて下さい、あなたの名前により彼の名前を覚えさせて下さい、血統を残させて下さい!。それはできない!エンキはマルドゥクとアスタに言った。殺された兄弟(に関しては)、その兄弟の兄弟が保護者とならなければならない、それによりサトゥの命は救われ、彼の種によりアサルの跡継ぎをあなたは身ごもらなければならない!。
この運命のいたずらにアスタは狼狽した。心を取り乱した彼女は規則に挑戦する決心をした。アサルの体が布に包まれ社の中に保存される前に、アスタはアサルの男根から彼の命の種を取り出した。それでアスタは自ら(の手で)妊娠した、アサルの跡継ぎそして復讐者を産むため。エンキとその息子たち、マルドゥクとその兄弟たちに、サトゥは宣言した『私はマルドゥクの唯一の跡継ぎで継承者です、私は「2つの狭い部分のある土地」(訳注:ナイル川周辺)の主人になります!』。アヌンナキの会議でアスタはその主張に異議を唱えた、私にはアサルの継承者である子供がいます、サトゥの怒りを避けるために、皮のパピルスの間に彼女はその子を隠していた。彼女はその子をHoron(ホロン)と呼んだ、父親の仇を討つ者として彼女は彼を育てた。
サトゥは狼狽した、しかしシャムガズは野心を捨てなかった。毎年イギギとその子孫は着陸場から(他の地域へ)広がって行った、ニンハルサグの聖域であるティルムンの境界線の近くへ彼らは移動した。天の戦車場の辺りにイギギと彼らの地球人たちが広がるのではないかと心配された。黒い色の土地では子供だったホロンは地球の急速なライフサイクルにより英雄へと成長していった。ホロンは大叔父であるギビルの養子となり、彼により訓練・教育された。ギビルは彼のために空に舞い上がるための羽付きサンダルを作った、彼は鷹のように飛ぶことができた。ギビルは彼のために聖なる銛(もり)を作った、その矢はミサイルだった。南部の高地でギビルは彼に金属と金属細工の技術を教えた。鉄と呼ばれる金属の秘密をギビルはホロンに明かした。ホロンはそれで武器を作り、忠実な地球人の軍隊を起こした。サトゥとイギギに挑戦するため、北へ向かって陸地と川を越え彼らは進軍した。
ホロンと彼の地球人の軍隊がティルムンの境界「ミサイルの地」に到着したとき、サトゥはホロンへ挑戦の言葉を送った「対決は我々2人だけだ、一対一で対決しよう!」。サトゥはティルムン上空で戦闘用の「旋風」に乗ってホロンを待っていた。ホロンが彼に向かって鷹のように空へ舞い上がったとき、サトゥは彼めがけて毒矢を放った、さそりの毒針のようにそれはホロンを倒した。これを見たアスタは、叫び声を天へ送った、ニンギシュジッダを求めて彼女は叫んだ。ニンギシュジッダは天空の船から降りて来た、英雄をその母親のために救うためやって来た。ニンギシュジッダは魔法の力でその毒を血液へ変えた、朝までにホロンは癒され、死から蘇った。それからひれと火の尻尾を持った天の魚のような「火の柱」を、ニンギシュジッダはホロンに提供した、その目は青から赤へ、赤から青へとその色を変えた。
勝利を宣言しているサトゥに向かって、「火の柱」に入ったホロンは高く舞い上がった。遠く広く彼らは互いに追跡し合った、命を賭けた猛烈な闘いだった。最初ホロンの「火の柱」は打たれたが、その後ホロンはもりでサトゥを強打した。サトゥは地上へ墜落し、ホロンにより紐で捕縛された。会議の席へホロンは捕虜となった叔父と共にやって来た、目が見えず睾丸は潰され、捨てられた瓶のように彼が立っているのを彼らは見た。サトゥを跡継ぎのいない盲人として生かしましょう!、そうアスタは会議のメンバーへ言った。イギギの間で人間としてその一生を終えるよう、会議は彼の運命を決定した。
ホロンは勝利を宣言した、父親の王座を継承するため、金属板に会議の決定が刻まれ、記録の殿堂にそれは置かれた。マルドゥクは彼の住居でその決定を聞き満足したが、その出来事をひどく悲しんだ。ホロンは息子アサルの息子であるが、イギギであるシャムガズの子孫でもある、アヌンナキに割り当てられた領土は、彼には与えられなかった。2人の息子を失ったマルドゥクとサルパニットは、互いに慰めを求めた。やがて彼らには別の息子が産まれた「預言の運び手」という意味でNabu(ナブ)と彼を名づけた。
■これは何故遠くに新しい戦車場が造られたか
そしてマルドゥクがドゥムジの死によって壊したドゥムジとイナンナの愛についての説明である。
ホロンとサトゥがティルムン上空で闘った戦闘の後、エンリルが3人の息子を会議に呼んだ。彼は最近の出来事を心配し次のように言った「最初我々は地球人を我々の形と姿に似せて創造した、今ではアヌンナキの子孫は地球人の形と姿に似るようになってしまった!、それからカ・インが弟を殺した、今ではマルドゥクの息子がその兄弟の殺人者になっている!、初めてアヌンナキの子孫が地球人の間に軍隊を起こした、アヌンナキの秘密である金属の兵器を彼は彼らの手に渡した!。アラルとアンズにより我々の正当性が挑戦を受けた頃から、イギギによる混乱と規則破りが続いた。今ではマルドゥクの領土に信号灯の頂があり、着陸場はイギギにより占められている、今イギギは戦車場の辺りへ進出している、サトゥの名前で天と地の全ての設備を彼らは主張するようになるだろう。対抗策を講じるように彼は提案した。」。
天と地の設備をもう一つ我々は建設しなければならない、それは大洋の向こうのニヌルタの地、信頼できる地球人の中に置かれるべきである。このようにして秘密の使命がニヌルタの手に委ねられた。大洋の向こうの山間の地、大きい湖のそばに、新しい「天地の絆」が設立され、囲いの中にそれは置かれた、金塊が散らばっている山の麓、頑丈な基盤の平地を彼は選び、その上に上昇と下降の印を彼はつけた。設備は原始的ですが、目的は遂行できます、そうニヌルタは父エンリルに予定通り報告した。ニビルへの金の輸送をそこから継続できますし、必要なら我々もそこから出発できます。その当時、祝福された出来事として始まり、恐ろしい事件として終末を迎えた出来事があった。
その当時エンキの一番下の息子ドゥムジは、ナンナルの娘イナンナを好きになった、エンリルの孫娘イナンナは、牧羊の主に魅了された。
見境を知らない愛が彼らを飲み込んだ、情熱で彼らの心は燃え上がった。その後長い間数多くの愛の歌が歌われた(が)、イナンナとドゥムジの愛の歌はその最初だった。彼らは歌により彼らの愛を語り合った。
エンキは一番下の息子ドゥムジにアブズの上の大きい領土を与えていた、「黒い土地」という意味のMeluhha(メルッハ[訳注:エジプトのアスワンからスーダンの北部までの古代王国ナビア。アブズは南東アフリカの金鉱の地。])がその名前だった、高地には木が茂り、水は豊富だった。大きい雄牛が川の葦の間を歩き回り、蓄牛の数は膨大だった。山からは銀が採れ、銅は金のように光り輝いていた。ドゥムジはとても愛されていた、アサルの死後エンキの最愛の子だった。マルドゥクは一番下の弟に嫉妬した。
イナンナは両親ナンナルとニンガルに愛されていた、エンリルは彼女の揺りかごのそばに座った。彼女は表現できないほど美しかった、武術でアヌンナキの英雄と彼女は競い合った。天の旅行と天空の船について兄弟のウトゥから彼女は学び、彼女自身の飛行船を地球の空を飛び回るため、アヌンナキは彼女に贈った。
大洪水のあと、着陸場のプラットフォームで、ドゥムジとイナンナは互いに目を交わした。人工の山の奉納の儀式のとき、彼らは心温まる出会いをした。彼らは最初躊躇した、彼はエンキの一族、彼女はエンリルの子孫だった。ニンハルサグが氏族間の論争に平和をもたらしたとき、イナンナとドゥムジは何とか他の人たちから離れた所で一緒になることができ、互いに愛を告白した。彼らは一緒に散歩しながら、甘い愛の言葉を互いに語った。並んで横になり、心と心で語り合った。彼女の腰のまわりにドゥムジは腕を回し、野性の雄牛のように彼女を欲しがった、私が教えてあげる!私が教えて上げる!ドゥムジはイナンナに言った。彼女は優しく彼に口付けし、それから彼女の母親のことを彼に告げた「母にどんな言い訳をしたらいいのかしら?あなたはニンガルに何と言いますか?、私達の愛を母に伝えましょう。喜んで杉の香水を私達に振りかけてくれるでしょう!」。
イナンナの母ニンガルの住居へ、恋人たちは行った。ニンガルは彼らを祝福した、イナンナの母はドゥムジを認めた。ドゥムジ様、あなたはナンナルの義理の息子になる資格がありますと、彼女は彼に言った。ドゥムジはナンナル自身により花婿として歓迎され、イナンナの兄弟ウトゥは、そうあれかし!と言った。
この結婚により氏族間に本当の平和がもたらされればいいが!エンリルは皆に言った。
ドゥムジが愛と婚約について父親と兄弟たちに話したとき、ドゥムジの兄弟たちは、マルドゥクを除いて全員、その結婚を喜んだ。ギビルは婚約用の金のベッドを作り、ネルガルは青い色の宝石を贈った。イナンナの好きな果物、甘いナツメヤシの実を、彼らはベッドの横にたくさん置いた。その果物の下に宝石の数珠球を彼らは隠した、イナンナが発見するのを(期待して)。
習慣として、イナンナに香水をつけ衣服を着せるためドゥムジの姉妹が送られた。Geshtinanna(ゲシュティナンナ)が、義理の姉妹となるべき彼女の名前だった。イナンナは心に浮かんだこと、ドゥムジとの将来について、彼女に話した「偉大な国家の夢を私は抱いています、ドゥムジは偉大なアヌンナキとしてそこで立ち上がるでしょう。私達は皇子の地位を分かち合い、反乱する国家があれば一緒に鎮圧します。私はドゥムジに状況を報告し、国を正しく導きます!」。イナンナの支配と栄光の夢がゲシュティナンナにより彼女の兄マルドゥクに報告された。イナンナの野心はマルドゥクの心を動揺させ、彼はゲシュティナンナに秘密の計画を告げた。ゲシュティナンナは、兄弟ドゥムジの所、羊飼いたちが住んでいる所へ行った。美しく着飾り香水をつけた彼女は、兄弟ドゥムジに次のように言った「あなたの若い妻と抱擁しながら眠りに入る前に、あなたは、姉妹を通して合法的な継承者を得なければなりません!。イナンナの息子は継承権への資格を得るべきではありません、あなたのお母様の膝の上では彼は育てられないでしょう!」。彼女は彼の手を自分の手の中に置き、彼の体に自分の体を押し付けた。「弟よ(又は兄さん)、私はあなたと一緒に寝ます。花婿よ、あなたにより私達はエンキの仲間をもうけます」、そうゲシュティナンナはドゥムジに囁いた、高貴な子孫を自分の胎からもうけるため。ドゥムジは彼女の胎に精液を注いだ、彼女に愛撫されながら彼は眠りに落ちた。夜中ドゥムジは夢を見た、死の前兆を彼は見た『夢の中で7人の強盗が彼の住居に侵入するのを彼は見た。Duttur(ドゥットゥル[訳注:エンキの妾])の息子よ、主人が我々をあなたのもとへ送った。彼らは言った「彼らは彼の雌羊を追い出し、子羊や子山羊も追い払った。彼らは彼の頭から領主のかぶりものを剥ぎ取り、王の衣服を彼の体から引き裂いた。彼らは羊飼い用の杖を折り、台の上に載っていたコップを投げ捨てた。裸で素足の彼を彼らは捕まえ、鎖で彼の手を縛った、“皇子の鳥と鷹”の名に誓い、彼らは彼を殺すため置き去りにした。』。
驚き狼狽したドゥムジは真夜中に目を覚まし、ゲシュティナンナにその夢について話した。それは余りいい夢ではありません、ゲシュティナンナは心を乱しているドゥムジに言った。あなたが私を強姦したと言ってマルドゥクはあなたを非難し、彼はあなたを逮捕するために悪の密使を送るでしょう。彼はあなたを審理しはずかしめるよう命令するでしょう、エンリル一門との連絡係を断ち切るために。ドゥムジは傷ついた獣のように唸り声を上げ、「裏切り者!裏切り者!」と叫んだ。
イナンナの兄弟ウトゥに、助けてくれ!とメッセージを送った。魔よけのために父エンキの名前を彼は唱えた。「蛇の砂漠」とも呼ばれるEmush(エムッシュ)砂漠を通って、ドゥムジは逃げた、悪人たちから身を隠すため彼は大きい滝のある場所へ向かって走った。水がほとばしっている所の岩は滑らかで滑りやすく、ドゥムジは(それに足を)滑らせて落ちた、急流は魂の抜けた彼の体を白い泡の中に飲み込んだ。
■イナンナの冥界下り
これはイナンナが下層アブズ(訳注:アフリカ南端)へ降り立ったこと、そして大アヌンナキ戦争と何故マルドゥクがエクル(訳注:ギザのピラミッド)の中に囚われの身になったかの説明。
魂の抜けたドゥムジの体を大きい湖からニナガルが引き上げると、その体は下層アブズにあるネルガルとエレシュキガルの住居へ運ばれた。エンキの息子ドゥムジの死体は、石板の上に置かれた。その出来事についてメッセージがエンキへ送られると、エンキは服を引きちぎり、額に灰をかけ、息子よ!息子よ!彼はドゥムジのために嘆き悲しんだ。どういう罪の故にこういう罰を私は受けるのか?彼は声を張り上げて尋ねた。
私がニビルから地球へやって来たとき、私の名前はエア、「水を家とする者」だった、天の戦車の推進力を私は水から得、(そして)海に着水した。それから大津波により地球は飲み込まれ、孫のアサルは海で溺れ、今ドゥムジは水で命を落とした!。私は全てのことを、正しい目的を持って行った。どうして私は罰せられるのか、どうして運命は私を見捨てるのか?、そうエンキは嘆き悲しんだ。
ゲシュティナンナから事の真相を聞いたとき、エンキの苦悩はさらに増した。長子マルドゥクもその行為により苦しむようになる!。ドゥムジの失踪をイナンナは心配し、その後彼の死により彼女は悲しんだ、それから下層アブズへ彼女は急いだ、ドゥムジの体を埋葬のため引き取るために。彼女の妹エレシュキガルは、その区域の門にイナンナが到着したことを聞いたとき、イナンナが悪いことを企んでいるのではないかと思った。7つの門のそれぞれにおいて、イナンナの装身具と武器が一つずつ取り除かれた、それから服を着ていない無力な(状態の)彼女は、エレシュキガルの王座の前で、ドゥムジの兄ネルガルにより跡継ぎを(得よう)と企んだと非難された!。怒りに震えるエレシュキガルは妹の説明に耳を傾けようとしなかった。60の病を彼女に向けて解き放て!、エレシュキガルは怒って彼女の大臣Namtar(ナムター)に命じた。
下層アブズでイナンナがいなくなったことに彼女の両親はひどく心配した、ナンナルはその件でエンリルの所へ行き、エンリルはエンキにメッセージを送った。エンキは息子エレシュキガルの配偶者であるネルガルから、事の成り行きを知り、エンキはアブズの粘土で、血の流れていない、死の光線にも無傷の密使を2人造った。彼は下層アブズへ彼らを送った、イナンナを連れ戻すために、生きていようと死んでいようと。
彼らがエレシュキガルの前にやって来たとき、その姿にエレシュキガルは困惑した。あなた方はアヌンナキなのか?あなた方は地球人なのか?困惑しながら彼女は彼らに尋ねた。ナムターは魔法の力を持つ武器を彼らに向けたが、2人は無事だった。彼は彼らを魂の去ったイナンナの体の所へ運んでいった、彼女は杭にぶら下げられていた。その死体の上に粘土の密使はパルサー(パルス発射装置)とエミッター(粒子発射装置)を向けた、それから彼女の上に「命の水」を振りかけ、彼女の口の中に「命の植物」を彼らは置いた。するとイナンナは体をわずかに動かし、(それから)目を開け、イナンナは死から蘇った。2人の密使がイナンナを「上の世界」へ連れ戻す準備ができたとき、イナンナはドゥムジの死体を一緒に連れて行くよう命じた。
下層アブズの7つの門で、装身具と持ち物がイナンナに返還された。「黒い土地」のドゥムジの住居へ恋人を連れて行くよう密使たちに彼女は命じた、そこで彼を清い水で洗い、甘い油を彼に注ぐため、それから彼に赤い布の服を着せ、宝石の石板の上に彼を横たえ、それから岩に彼の安置所を彫った、そこで「蘇りの日」を待つため。
イナンナ自身は、エンキの住居へ向かった、愛する人の死の報復を彼女は望んだ、犯罪人マルドゥクの死を彼女は要求した。死はもう十分だ!、エンキは彼女に言った。マルドゥクは扇動者ではあるが、殺人の罪は犯していない!。エンキがマルドゥクを罰しないことを知ったイナンナは、両親と兄弟(訳注:ウトゥ)の所へ向かった。高い天に向かって彼女は嘆きの声を上げ「正義を!復讐を!マルドゥクの死を!」と彼女は叫んだ。エンリルの住居で彼の息子たちがイナンナとウトゥに加わった、彼らは戦争の会議のために集まった。反乱者アンズを負かしたニヌルタは、強力な手段を論じた。マルドゥクとイギギの間に秘密の言葉が交わされました、ウトゥは彼らに報告した。悪い蛇マルドゥクは地球から排除しなければならない、エンリルは彼ら(の考え)に賛成した。マルドゥクの引き渡し要求が彼の父エンキへ送られたとき、エンキは自分の住居にマルドゥクと他のすべての息子を呼んだ。愛するドゥムジの故に私は今でも悲しんでいるが、マルドゥクの権利も私は守らなければならない!。マルドゥクは悪を扇動したが、マルドゥクの手によってではなく、悪運によって、ドゥムジは亡くなった。マルドゥクは私の長子で、ニンキが彼の母親、彼は私の跡を継ぐ運命にある。ニヌルタの連中は(マルドゥクの)死を求めているが、我々は全員で彼を守らなければならない!。父親の呼びかけに耳を傾けたのはギビルとニナガルだけだった、ニンギシュジッダは反対した、ネルガルは躊躇し「彼が死の危険に直面したときだけ私は手伝います!」と彼は言った。
2つの氏族の間で前代未聞の残酷な戦争が勃発したのはその後のことである。地球人の子孫であるホロンとサトゥの間の闘いとは違っていた。ニビル産まれのアヌンナキ同士の闘いが、ニビル以外の惑星で行われた。イナンナにより戦争の火蓋は切って落とされた、彼女は飛行船に乗ってエンキの息子たちの領土へ向かった。彼女はマルドゥクに闘いを挑んだ、ニナガルとギビルの領土へ彼を追跡した。ニヌルタは彼女を援助するため「嵐の鳥」から敵の砦めがけて致死光線を放った、イシュクルは空から焼却光線と粉砕落雷で攻撃した。アブズで彼は川から魚を追い出し、野の家畜を追い払った。それからマルドゥクは、北へ、人工の山のある場所へ後退した。
彼を追跡したニヌルタは、居住地へ毒のミサイルを雨のように降らせた。彼の「引き裂く武器」により、その土地の人々は感覚を失ってしまった。川の水を運ぶ運河は、血で真っ赤になった、イシュクルの光り輝く兵器は夜の暗黒を燃えるような昼に変えた。壊滅的な闘いが北上すると、マルドゥクはエクルの中に身を隠した。
ギビルはそのため見えないシールド(遮蔽幕)を考案し、ネルガルは天に向けて全ての物を見る目を持ち上げた。イナンナは「光り輝く兵器」で、角型アンテナにより方向を定めて、その隠れ場所を攻撃した。ホロンは祖父を守るためにやって来た、彼女の「光り輝く兵器」で彼の右目は損傷を受けた。ウトゥがイギギとその地球人の軍勢をティルムンの向こうに引き留めている間に、人工の山の麓ではアヌンナキ(同士)が、それぞれの氏族を支援してぶつかり合った。マルドゥクを引き渡せ、流血を終わりにしよう、そうエンリルはエンキへメッセージを送った。
マルドゥクは、エクルの隠れ家の中から追跡者たちに戦いを挑んでいた、「山のような家の中」が彼の最後の抵抗の場所となった。イナンナは巨大な石造建築物を打破することができなかった、その滑らかな側面は彼女の兵器をはね返した。その後ニヌルタは秘密の入り口のことを知り、北側に回り継手付きの石を見つけた。暗い通路を通り、ニヌルタは大回廊に到達した、その丸天井は虹のように色々な色の結晶放射で光り輝いていた。その侵入で警戒態勢に入ったマルドゥクが、中で武器を準備してニヌルタを待った。ニヌルタも武器で応対し、不思議な結晶を粉々にしながら、大回廊を突き進んだ。マルドゥクは上の部屋、「大きい鼓動している石」のある所へ後退した。その入り口にマルドゥクは引き込み石の錠を下ろした、それですべての侵入を彼は防いだ。イナンナとイシュクルはニヌルタに続いてエクルの中に入った、次にどうすべきか彼らは考えた。箱のようになっているこの隠れ部屋をマルドゥクの石の棺にしよう、イシュクルは彼らに言った。いつでも引き降ろせる3つの遮蔽石の方にイシュクルは彼らの注意を向けた。生き埋めにして徐々に訪れる死を、マルドゥクへの宣告としよう、イナンナはそう言って同意した。大回廊の端にある遮蔽石を3人は降ろした、1人が1つずつ石を引き降ろし(入り口を)塞いだ、マルドゥクを墓の中に封印するために。
■マルドウクの彷徨(以後、アメンラーと呼ばれる)
これはマルドゥクがどうやって救われ、そして亡命の地へ出発したか、そしてどのようにエクルから防備が撤去され、その土地の領主権がどのようにして新たに決定されたかの説明である。
マルドゥクは、太陽も光もなく、食べ物も水もなく、エクルの中に生きたまま閉じ込められてしまった。彼が審理なしに投獄され罰を受けていることを(知った)サルパニットは、悲しみの声を上げた。義理の父エンキのもとへ彼女は急いだ、若い息子ナブと一緒に行った。
マルドゥクは生きて帰って来なければなりません!、エンキへサルパニットは言った。彼は彼女を、イナンナの仲裁役になれるウトゥとナンナルのもとへ送った。贖罪の衣服を着た彼女は、主マルドゥクに命を与えて下さい!と嘆願した。彼を低い身分で生かし続けて下さい、彼は支配権を諦めるでしょう!。
イナンナは心を和らげなかった。愛する者の死の償いとして、扇動者は死ぬべきである!、イナンナは言い返した。
調停者ニンハルサグは兄弟エンキとエンリルを呼んだ、マルドゥクは処罰されなければならない、(しかし)死は正当化されない!、彼らに彼女は言った。マルドゥクを追放しましょう、地球の継承権はニヌルタに譲りましょう!。エンリルはその言葉を聞いて嬉しかった、そして微笑んだ。なぜなら、ニヌルタは彼の息子で、彼女がニヌルタの母だった。継承権と命といずれかを選ばねばならないとしたら、父親である私には(他に)何と言いようがあろう、そうエンキは重い心で言った。私の土地は到るところ荒廃している、戦争は終わらせなければならない、私は今でもドゥムジの死を悲しんでいる、マルドゥクは追放し生かそう!。平和が戻りマルドゥクが生き延びるためには、拘束力のある取り決めを結ぶべきである!、エンリルはエンキに言った『天地の絆となる全ての設備は、私の手に委ねられなければならない、「2つの狭い部分のある土地」の支配権は、あなたの別の息子に与えられるべきである。マルドゥクに従ったイギギは、着陸場を諦め放棄しなければならない。ジウスドラの子孫の住んでいない「帰らざる地」へ、マルドゥクは追放されなければならない。』、そうエンリルは力強く宣言し、兄弟の中で彼は第一人者であることを意味した。エンキは心の中でその宿命を受け入れ、そうあれかし!頭を下げて彼は言った。
ニンギシュジッダだけがエクルの内部を知っている、彼をその地の主人にしよう。偉大なアヌンナキによりその決定が発表されたあと、彼らはニンギシュジッダを救出作業のために呼んだ。マルドゥクを遮蔽・封印された内部から如何に救出するかが、彼への挑戦だった。生き埋めにされた人を救出するという想像を絶するような任務を、彼らは彼に与えた。ニンギシュジッダはエクルの秘密の設計を熟考し、遮蔽物を迂回する方法を彼は計画した。それは削り取った上部の開口部からマルドゥクを救出できると、彼は指導者たちに言った。私が示す場所に、石の入り口を切り取り、そこから上のほうへ曲がりくねった廊下を掘り抜き、救出用の通路を造ります。隠された空洞を通ってエクルの中心部までそれを続けます、空洞の中心部で石に穴を開けます。(その部分を)吹き飛ばし内部への入り口を開口すれば、遮蔽物を迂回できます。大回廊を上へ向かって進み、3つの石の遮蔽棒を持ち上げ、マルドゥクの死の牢獄である一番上の部屋に到達します。
アヌンナキは、ニンギシュジッダの指導のもとに、彼が説明した計画に従った。石を砕く道具を使って彼らは開口部を開け、救出用の通路を造った、人工の山の内部に達し、(石を)吹き飛ばして出口を開けた。3つの遮蔽石を迂回し、一番上の部屋に彼らは達した。小さいプラットフォーム上で彼らは吊るし門を引き上げ、気絶しているマルドゥクを彼らは救出した。彼らは注意深く曲がりくねった通路を通って主を引き降ろし、新鮮な空気の所まで彼を運んだ。
外ではサルパニットとナブが(それぞれ)配偶者と父親を待っていた、嬉しい再会だった。父エンキがマルドゥクに釈放条件を伝えたとき、マルドゥクは激怒し「長子権を喪失するより死んだ方がましだ!」と、彼は叫んだ。サルパニットは彼の腕にナブを押し付けた。私たちもあなたの将来を分かち合います!、彼女は優しく言った。マルドゥクは腹が立ったが、運命に従いますと、!彼は聞こえないほど小さい声で言った。彼はサルパニットとナブを伴って「帰らざる地」へ出発した、角のある獣を狩猟する場所へ妻子と一緒に彼は行った。
マルドゥクが出発したあと、ニヌルタはエクルへ縦の通路を通って再び入った、横の廊下を通ってエクルの中心部へ彼は行った。東の壁、芸術的に作られたくぼみに、「運命の石」が赤い光を放っていた。それを取り除け!破壊せよ!、ニヌルタは補佐官たちに大声で言った。来た道を逆に戻り、大回廊を通って最上階の部屋へニヌルタは行った、削り取られた箱の中でエクルの心臓が鼓動していた、5つの区画によりその網の力は強められていた。ニヌルタは指揮棒でその石の箱を打った、それは共鳴音で応えた。ニヌルタは方向を決定する「Gug
Stone(ガグ石)」を取り外し、彼が決定する場所へ運ぶよう命じた。大回廊から降りて来たニヌルタは、27対のニビルの結晶を検査した。マルドゥクとの戦いでその多くは損傷していたが、いくつかは無傷で残っていた。無傷の(結晶)はその溝から取り外すようニヌルタは命じ、他は光線で粉々に砕いた。「山のような家」の外でニヌルタは彼の「黒い鳥」に乗って舞い上がり、「頂上石」へ注意を向けた、それは彼の敵の象徴であった。彼は武器でそれを振動させ、下へ落とし粉々にした。これでマルドゥクへの恐れは永久に無くなった!、ニヌルタは勝利を宣言した。戦場に集まったアヌンナキはニヌルタを褒め称えた。あなたはアヌのようになった、彼らは自分たちの英雄・指導者にそう叫んだ。
無力と化した信号灯の代替場所として、「天の戦車場」の近くの小山が選ばれた、回収された結晶がその内部で再配列された。その頂上に「方向を決める石」である「ガグ石」が置かれた。その小山は「最高の天の帆船の山」という意味でMount Mashu(マシュ山)と呼ばれた。その頃エンリルは3人の息子を呼んだ、ニンリルとニンハルサグも出席した。昔の土地の指揮権を再確認し、新しい土地の領主権を割り当てるため彼らは会合を持った。アンズとマルドゥクに勝利したニヌルタには、エンリルの権限(※ランク50)が付与された、全ての土地で父親の代理を務めるようになる。「杉の山」の着陸場の領主権は、イシュクルに与えられた、着陸場の北の地域も彼の領土に加えられた。イギギと彼らの子孫が広がって行ったその南と東の土地は、ナンナルに永久的な寄贈地として与えられた、彼の子孫やそれに従う者たちが保持できるように。戦車場がある半島はナンナルの土地に含められ、ウトゥはその場所の司令官兼地球海軍の司令官として正式に認められた。
「2つの狭い部分の土地」は、合意の通り、エンキがニンギシュジッダに領主権を譲渡した。それにはエンキの他の息子たちは反対しなかった。しかしイナンナは反対した、死亡した彼女の花婿ドゥムジの遺産として、イナンナは(その土地を)要求した、彼女は自分の領土をエンキとエンリルに要求した。
イナンナの要求を如何に満足させるべきか指導者たちは考えた、運命を決定する偉大なアヌンナキたちは土地と人々について相談した、地球とその再決定について彼らはアヌとメッセージを交換した。大災害をもたらした大洪水のときから2シャー近くが経っていた、地球人は繁殖し、山間の地から乾いた低地に彼らは移動していた。彼らはジウスドラに始まる文明化した人類の子孫で、アヌンナキの種と混ざり合っていた。(惑星間)結婚をしたイギギの子孫も歩き回っていた、カ・インの一族が生き残った遠い地で。
ニビルからやって来た堂々たるアヌンナキはほとんどいなかった、彼らの純潔の子孫もほとんどいなかった。偉大なアヌンナキは自分たちの定着と地球人たちの定着をどうすべきか考えた、人類の上に君臨し続けるにはどうしたらよいか、多くの者を僅かの者に従わせ奉仕させるにはどうしたらいいか。この全てについて、将来について、指導者たちはアヌとメッセージを交換した。アヌはもう一度地球を訪れる決心をした、彼の配偶者アントゥも連れて。
(第11粘土板の終わり)