民族絶滅の危機


 
 『ウイグル人に何が起きているのか 2019年6月著』『習近平の敗北 - 紅い帝国・中国の危機』を紹介致します。尖閣のみ成らず、沖縄までも、日本が支那から奪ったと、支那は公式に声明を出しました。勿論、中韓が揺さぶりを掛けても動じない安倍政権への外交圧力で、史実的根拠はまったくありません。もしあるのなら国際裁判所に提訴すればよいのです。
 しかし、シナの謀略を侮ってはいけないこと、甘く見ていると日本全体が、チベットやウイグルの悲劇を繰り返すことにも成りかねません。新しい被害者は何も日本だけとは限らないのです。だから、日米安保を基軸とし、価値を同じくする国々と協力しながら、支那と北朝鮮を封じ込め、支那に追従する韓国を叱りつけてあげる必要があるのです。

『ウイグル人に何が起きているのか 2019年6月著』
カシュガル探訪──21世紀で最も残酷な監獄社会
時事:ウイグル収容所で多数の死者か=「文化消し、中国人に」と絶望感
民族絶滅の危機人民解放軍の性奴隷チベットの焼身抗議
ウイグル・ジェノサイド 「日本の皆様へ」(pdf)
「再教育施設」の悪夢──犯罪者にされる人々
“再教育施設”の実態──袋を被せられ、手足を縛られて連行
恐ろしい「社会信用システム」
強制健康診断による血液・DNA・虹彩・指紋の採取
共産党監視員による精神支配
臓器移植ビジネスの生贄
核実験の犠牲に──「死のシルクロード」
ウイグル人の訴える悲痛な声
日本は軍事力、諜報防諜力、経済力や金融を背景にした強い国力が無い
親から引き離され中国人化される子供たち
農場の家畜のように押し込まれる
日本にとってのウイグル問題
中国(漢民族)では人民は最凶の暴力装置
人民監視を行う為の社会スコアー制度──皇帝独裁が目的
宗教の中国化政策という異常
仏教の堕落
キリスト教弾圧
台湾の危機
香港の中国化は軍事力で有無を言わせず
静かな全人代に見る“習近平の敗北
国力不足の日本は米国の補佐に徹しよ!
米中冷戦の正体
ドルの発行権は手放せない
共産主義・グローバリズムは世界の富豪たちが作った
共産主義犠牲者の国民的記念日



カシュガル探訪──21世紀で最も残酷な監獄社会

 カシュガルで私か泊まっていたホテルは解放北路に面するエイティガール寺院の近所だが、解放北路にはだいたい100mごとに便民警務ステーションが立っている。そしてその便民警務ステーション(人民の監視)のあいたには、無数の監視カメラ。これも数十mに数個の割合で設置されていた。壊れたまま放置されているものもあったので、全部が全部機能しているわけではなさそうだが、「監視しているぞ」というプレッシャーは十分に発揮されている。
 ちょうど礼拝中で、観光客の立ち入りはできなかったのだが、そのときもアザーン(イスラム教における礼拝への呼び掛けのこと)は流れていなかった。このオウェルダシク寺院の入り口にも便民警務ステーションがあり、近くに設置してあるスピーカーから「社会秩序を乱す悪を徹底排除しよう」「黒があれば黒を一掃し、悪があれば悪を排除し、乱があれば乱を治めるのだ」といった警告が中国語とウイグル語で交互に大音量で流れ続けていた。寺院の屋根には九星紅旗が翻る。宗教施設に国旗を掲げることは2018年2月以降、義務化されているのだが、これほど不自然な光景もない。宗教施設というより観光地であり、政治宣伝広場である
 そして、タクシーに乗って運転手とおしゃべり、というわけにはいかない。タクシーのなかには公安のマークのついた監視カメラがしっかりある。そのせいだろうか。こちらが話し掛けても、運転手はあまり答えない。車のなかには、消火器と「市民が守るべき10のルール」といったポスターが貼ってあった。「社会の秩序を乱してはならない」などと書いてあった。
 カシュガルはどこもかしこも美しく、人々は正心で親切だ。だが、人も含めて全部作り物のようだった。彼らは昔ほど陽気ではなかった。羊の姿は消え、警官と「有悪除悪」(悪があれば排除する)の標語と監視カメラがあふれていた。 …
 カシュガル市内の西域広場駅からコナシヤハル行きバス(4号線)に乗った。およそ10分。
 カシュガル市とコナシヤハル県の境に来ると、乗客がいっせいにシートベルトを締めだす。県境の検問だ。防刃チョッキ姿の警官が乗り込み、身分証明書をチェックしていく。ウイグル人の何人かはバスを降ろされた。身分証明書をもっていなかったらしい。怪しいと思われ
ると、検問所の金属探知機とX線透過装置で安全チェックを受けさせられるのだ。私は幸い、見た目が漢族なので身分証明書の提示すら求められなかった。 …
 貧困扶助を受けている農家の門にはすべて五星紅旗が掲げてあり、ウイグル風の彫刻の入った門や建築に不似合いな対聯(赤節のときに門に張る祝い対句)や福の字を書いた赤い紙をさかさまにして張ってある。いずれも漢族の春節を祝う習慣である。対聯には伝統的な漢詩ではなく、「民族団結一家親」(民族は団結して家族のように親しい)という政治スローガンが書いてあった。ウイグル人の農家の中国化、漢族化か、共産党から貧困扶助を受けるというプロセスのなかで進められていく様子が垣間見られた。
 加えて、田舎にあるモスクの写真をなぜ撮ってはいけないか。理由は分かっている。農村のモスクを手当たり次第に閉鎖して、愛国愛党の垂れ幕でラッピングしている様子が知られたら、やはりそれは宗教を冒涜している証拠として国際社会から批判されるからだ。 …
 SWAT警官は、彼が手配したウイグル人運転手を指して「あなたの行きたい場所などを全部説明しておいた。目的地についたら四元を支払ってやってくれ」。そしてウイグル人運転手に対しては、身分証明書とプレートナンバーを写真に撮り、「お前のことは全部警察が記録しているのだから、変な真似するんじゃないぞ」と、ちょっと恫喝めいた口調で命じていた。
 「このあたりはあなたが思うより危険なのです。一人旅はまず安全第一に、お気をつけて。ウイグル人は人を騙しますが、彼は大丈夫です」といった──つまり、監視社会であるという真実を知られたくないから恐喝して口封じしているのだ。ウイグル人と漢族の関係性とはこういうことなのか、と納得した。
 私かカシュガルに行く、と友人の在日ウイグル人にいったとき、「平時なら、私の実家にぜひ寄ってください、といいたいところなのですが、いまはそれができないんです」といった。外国人ジャーナリストが彼らの家族、ウイグル人と接触すると、それだけで。再教育施設・送りになるかもしれないから、と。
 実際にこの地に来てみれば、観察力のある人なら気付くだろう。若い男性が相対的に少ないことや、木陰に座る老人たちに笑顔が見えないことや、観光客に接する女性たちの表情が妙に硬いこと。
 刺すような日差しと涼しい木陰に彩られた日干し煉瓦(いまは同じ色合いの焼き煉瓦で作り直されている)でできた美しいウイグルの町は、外国人も漢族も自由に観光できるが、そこに住んでいるウイグル人にとっては巨大な監獄なのだ外から来た旅行者には、美しい治安のよい理想の観光都市に見える、21世紀で最も残酷な監獄社会
 そんなSF小説にも出てきそうな現実が、じつは日本と一衣帯水の隣国のさい果てにあるウイグルの地に存在する。本書は、ウイグルの地でいま何か起きているのか、ウイグル人に何が起きているのか、昨今の国際社会で断片的に報じられている情報を整理し、理解してもらおうと書き始めた。私は、これが21世紀最悪の民族文化の抹殺であり、民族浄化といってよい非道が行われた、と後世の歴史家が語るような問題ではないかと思っている。
 専門家でもない私か、この問題を語るには力不足であることは承知しているが、まずは知ってほしい、という思いから。

 ■時事:ウイグル収容所で多数の死者か=「文化消し、中国人に」と絶望感。2019/07/15
 百万人以上のウイグル人が「強制収容所」で不当に拘束されているとされる中国新疆ウイグル自治区の現状はどうなっているのか。強制収容所では拷問が横行し、在日ウイグル人が海外報道や関係者証言を集計したところ「施設内の死者は100人を超える」との情報もある。在外ウイグル人は「中国当局は中国人と違う文化を消し、われわれを中国人にしようと狙っている」と絶望感を強める。

 ◇わが子亡くした女性証言

 2009年にイスラム教徒の少数民族ウイグル族と漢族が衝突し、多数の死傷者が出たウルムチ騒乱から10年を迎え、明治大(東京都)でウイグル人の証言を聞く集会があった。インターネットを通じて映像で登場した米国在住のウイグル人女性、メヒルグル・トゥルスンさん(29)は15年、滞在先のエジプトから生後45日の三つ子とともに里帰りした際、ウルムチ空港で突然拘束された。子供と引き離され、強制収容された。
 「暴力や電気ショックを受け意識を失い、注射や正体不明の薬を投与され、記憶力がなくなった。施設内で9人の女性が死亡したのを目の当たりにした。子供が重体と言われて仮釈放された際、三つ子のうち一人は遺体で引き渡された」。18年まで計3回収容されたが、子供がエジプト国籍だったため同国政府の働き掛けで奇跡的に出国できた。
 施設内では習近平国家主席の長寿を祈らされ、「共産党は神様だ」と強要された。トゥルスンさんの家族・親族26人も拘束され、同じウイグル人の夫は、消息不明になった妻を捜そうとエジプトから新疆に入ったが、ウルムチ空港で拘束され、懲役16年の判決を受けた。

 ◇家族と連絡取れない

 中国政府は、イスラム教の過激思想に染まるのを防ぐため職業訓練の名目で収容施設を自治区の各地に設立。これに対して米国務省は今年3月、中国当局がウイグル人80万~200万人以上を拘束し、「宗教や民族の独自性を消去しようとしている」と非難している。
 ウイグル問題を研究し、明治大での集会を企画した同大商学部の水谷尚子准教授は「強制収容所の拡大が伝えられたのは16年から。以降、規模は爆発的に拡大している。ウイグル人には火葬の習慣がないのに、17~18年には収容所近くに9カ所の大規模火葬場が建設された」と指摘する。
 水谷氏や在日ウイグル人によると、中国当局は16年、ウイグル人に対して従来厳格だったパスポート発券要件を緩和。多くのウイグル人が新疆から海外旅行などに出掛けたが、17年に入ると一転、海外に行ったり、海外に家族・親族がいたりするウイグル人が一斉に強制収容所に連れて行かれた。海外の「テロ勢力」に関係していると主張し、不当拘束の口実にしている可能性がある。
 在日ウイグル人の多くも、家族が強制収容所に入れられ、「連絡が取れなくなっている」という。職業訓練など不必要なはずの学者や企業家、文化人らが多く収容されているのは、中国当局がウイグル知識人に警戒を強めている表れだ。
 このほか新疆ではウイグル人家庭に中国当局者が監視のため寝泊まりしたり、イスラム教徒向けの「ハラル食堂」が閉鎖されたりしている。子供が両親から離れ、寄宿学校に入り、中国語と中国文化を集中的に学ばされるケースも拡大。新疆から「ウイグル」は消し去られようとしている。

「再教育施設」の悪夢──犯罪者にされる人々

 私か日本人であったから普通の観光客であると結論付けられたのだが、もし私か本当にウイグル人であれば、工場の写真を撮っていただけでテロリスト容疑を掛けられて、そのまま逮捕されたかもしれない。あるいは、カザフスタン人やキルギス人であっても逮捕されただろう。
 あれから6年。こうした根拠不明の言いがかりで強制的に収容されているウイグル人がじつは100万人、あるいは200万人以上いる、という報告が国際社会で明らかになりつつある。中国に暮らすウイグル人は約1100万人。つまり10人前後に1人の割合で、身体の自由を奪われているウイグル人がいるのだ。
 2018年、米国のゲイーマクドゥーガル委員が、中国政府が「ウイグル自治区を人規模な収容キャンプのようなものにしている」と報告、被収容者数が少なくとも100万、あるい200万人に上ると訴えた。
 これに対し13日の会合で、中国代表団はこの報告を「完全な捏造」と反駁。委員会に参加していた統一戦線部第9局副局長でもある胡連合は「職業訓練所(※この中国人が職業訓練所と呼ぶ施設が、強制収容所です)はたしかに存在するが、強制収容所ではない」「100万人も収容されていない」「ウイグル人を含む新疆の市民は平等な自由と権利を享受している」と答えたうえで、ただ「一部に宗教過激派分子に騙された人がいて、彼らの社会復帰を支援している」と悪びれることなく主張した──事実は強制収容所であり洗脳がダメなら、処刑され臓器を抜かれるという報告もあるそうです。
 中国共産党のウイグル人への迫害はいまに始まった話ではない。だが、習近平政権になってから、再教育施設に100万人収容、という例を取っても、ウイグル全体の民族・文化・伝統そのものを“消滅”しようといわんばかりの苛烈さを感じさせる。
 『ウォールーストリートージヤーナル(WSJ)』(2018年8月20日付)の欧州文化神学学院のエイドリアン氏のインタビューによれば、“再教育施設”は推計1300ヵ所以上。その実態は、まさに現代の“ラーゲリ(ビエト連邦で 1918年に創設された矯正労働収容所)”だ。ウイグル人から尊厳と信仰と伝統と文化を奪い、ウイグル人そのものを中国人に改造する非人道的施設だった。

“再教育施設”の実態──袋を被せられ、手足を縛られて連行

 2017年3月23日、仕事でウルムチに出張した。仕事を終え、帰国前の3月25日に両親の住む故郷、ウイグルのトルファンの実家に立ち寄った。その翌日の3月26日のことである。突然、武装警察がやってきた。問答無用で頭に袋を被せられ、手足を縛られて連行されたのだった。
 どこに連れてこられたのかは分からない。「最初に血液と臓器適合の検査を受けた。自分の臓器が中国人の移植用に使われるのかと思い恐怖を感じた」とオムル(カザフスタン国籍を取得)は振り返る。その後、4日にわたり、激しい尋問を受けた。「お前はテロリストを手伝っただろう?」「新疆独立運動に加担したな」「テロリストの主張を擁護したな」 … 答えないと、警棒で脚や腕を傷跡が残るほど殴られた。だが、拷問に屈して「はい」と答えてしまえばテロリストとして処刑されると思い、必死で耐えた。「私はカザフスタン国民だ。大使館に連絡を取ってくれ」「弁護士を呼んでくれ」と要求しても、無視された。他のウイグル人が拷問を受ける姿も目の当たりにした。両手を吊るされて、汚水タンクに首まで浸けられて尋問されていた。
 寒い夜中、水を掛けられて生きたまま凍えさせる拷問も見た。同じ部屋に収容されていた2人が拷問により衰弱死した。一人は血尿を出しても医者を呼んでもらえず、放置された。
 尋問のあとは、洗脳だった──「“人間の皮をかぶった鬼”にされた撫順収容所と洗脳」参照。尚、この洗脳方式はGHQの日本人精神消滅の洗脳と同じ方式です。いわゆる「再教育施設」に収容され、獣のように鎖でつながれた状態で3ヵ月を過ごした。小さな採光窓があるだけの12㎡ほどの狭い部室に、約50人が詰め込まれた。弁護士、教師といった知識人もいれば、15歳の少年も80歳の老人もいた。カザフ人やウズベク人、キルギス人もいたが、ほとんどがウイグル人。食事もトイレも就寝も“再教育”も、その狭く不衛生な部屋で行われた。午前3時半に叩き起こされ、深夜零時過ぎまで、再教育という名の洗脳が行われる。早朝から1時間半にわたって革命歌を歌わされ、食事前には「党に感謝、国家に感謝、習近平主席に感謝」と大声でいわされた。
 さらに、被収容者同士の批判や自己批判を強要される批判大会。「ウイグル人に生まれてすみません。ムスリムで不幸です」と反省させられ、「私の人生があるのは党のおかげ」「何から何まで党に与えられました」と繰り返す。
 「『私はカザフ人でもウイグル人でもありません、党の下僕です』。そう何度も唱えさせられるのです。声が小さかったり、決められたスローガンを暗唱できなかったり、革命歌を間違えると真っ暗な独房に24時間入れられたり、鉄の拷問椅子に24時間鎖でつながれるなどの罰を受けました」と当時の恐怖を訴える。
 さらに、得体の知れない薬物を飲むように強要された。オムルは実験薬だと思い、飲むふりだけをして捨てた。飲んだ者は、ひどい下痢をしたり昏倒したりした。食事に豚肉を混ぜられることもあった。食べないと拷問を受けた。そうした生活が8ヵ月続いた。115Kgあったオムルの体重は60Kgにまで減っていた。
 「同じ部屋に収容されていた人のなかから毎週4、5人が呼び出されて、二度と戻ってきませんでした。代わりに新しい人たちが人ってきます。出て行った人たちはどうなったのか」
 常時警官に見張られ、また被収容者同士も相互監視を強いられた。寝るときは、同じ部屋の3分の1の15人ほどが起きて、残りの被収容者の寝ている様子を監視させられた。拷問に慣れ、痛みも感じなくなり、このまま死ぬのだと、絶望していたという。
 オムルが生きてこの施設を出ることができたのは、オムルがカザフスタン国籍をもつ社会的地位のある人間であったことが大きい。中国当局に拘束されたと聞き、カザフスタンに残されていた妻は国連人権委員会へ手紙を書いて救いを求めた。親戚もカザフスタン大使館を通じてカザフスタン外務省に訴え続けた。人権NGOやメディアも動き、ついに2017年11月4日、オムルは釈放された。釈放されたとき、自分が収容されていた場所が「カラマイ市職業技能教育研修センター」であることを初めて知った
 オムルは自由の身になったが、トルファンにいた両親、親戚ら13人は強制収容されてしまった12018年9月18日、収容所内で80歳の父親が死亡した。死因は不明だが、ウイグル問題を国際社会で告発し続けるオムルヘの報復のための虐待死が疑われている。オムル自身、いまも日常的に命の危険を感じて、一人で出歩かないようにしている、という。だが、自分やいまだ囚われの身の家族の命を懸けても、いまウイグルで起きていることを世界に告発していく強い意志を持ち続けている。
 中国当局は、再教育施設はあくまでも過激派宗教に染まった人々が正しい中国人の道に戻るように教育し、社会復帰を支援するための施設、と説明している。だが、それが真っ赤な嘘であることは、オムルの腕に残る拘束具の傷や父親の死が証明している

※職業訓練センター「強制収容所」の前身

 中国で昔から思想教育施設として機能していた。労働教養所・が憲法違反であるとして廃止されたばかりだった。労働教養所は2013年11月に廃止された。これは、社会秩序を乱す人民に対し。労働を通じて思想教育する、という目的で3年(改善が見られない場合はさらに1年延長できる)を限度に強制収容するものだが、逮捕手続きや裁判などは必要なく、たんに当局が気に入らない、という理由で収容が可能だった。
 また、無報酬できついノルマの長時間の強制労働に従事させられ、拷問や虐待も日常的に行われていたため、監獄より劣悪な人権侵害施設として知られていた。2013年当時、公式発表では全国に350ヵ所以上、16万人が収容されていたが、浦志強ら一部の人権派弁護士、中国の写真雑誌『Lens』などメディア関係者がこの施設の違憲性や虐待の凄まじさを告発し続けた結果、廃止となった。ただし、浦志強はのちに別件で身柄拘束されて弁護士資格を剥奪され、『Lens」は廃刊処分になるなど大きな代価が支払われている。
 脱過激化条例施行に基づき、地域の普通のウイグル人に対する管理監視強化が一気に進んだ。まず、ほとんどのウイグル人たちがパスポートを回収され、原則当局が保管することになった。つまり、ウイグル人は当局の許可なしに外国には行けないのだ。
 また、すでに外国にいるウイグル人、とくに海外留学生の呼び戻しを行った。素直に戻ってきそうにない場合は、「帰国しなければ母親を再教育施設に送る」と脅す場合もあった。あるいは両親を脅して留学中の息子や娘にウソの連絡を入れさせた。「急用があるのですぐ帰国してほしい」「帰国して政府の仕事に協力してほしい」……。
 帰国した学生たちは身柄を拘束され、再教育施設に放り込まれ、なかには逮捕され、犯罪者として投獄された者もいた。
 危険を察知して帰国しなかった学生に対しては、中国当局の要請を受けて当局が留学生たちを拘束し、中国に強制送還した。一部のイスラム国家政府は中国経済に依存しており、中国当局の強い要請に逆らえない事情があった。こうして2018年までに、全世界でおよそ8000人のウイグル人留学生か帰国させられた。帰国後の消息はほとんど不明という。再教育施設か刑務所に入っているか、あるいは“死亡”させられているか。日本にいるウイグル人留学生の状況については後述するが、少なくとも10人が学業半ばで帰国させられている。

恐ろしい「社会信用システム」

 陳全国はさらに、新疆のウイグル人管理にITやAIなど最新科学技術を導入した。地域全体を網羅するようなインターネット監視網を構築し、彼らの私生活にまで踏み込んでいった。
 陳全国はまず、新疆地域の全居民に対して「社会信用システム」のスコア制度実施を指示した。
 「社会信用システム」は、2014年6月に中国国務院が発布した「社会システム企画要綱2014‐2020」で打ち出された。「社会信用システム」は社会主義市場経済および社会主義統治体制の重要な構成部分であるといい、全社会の構成員を対象に、その信用記録および信用インフラネットワークを構築。信用を守ることを奨励し、信用を失った場合は懲罰の対象となるメカニズムによって、全社会の信用・誠意の意識、信用水準を高める、としている。2020年までの完成を目標としている。
 システム自体は欧米社会のクレジットカードの信用スコアなどを参考にしているのだが、恐ろしいのは、これが共産党体制による統治に利用することを目的としている点だ。
 たとえば、ウルムチ市。ラジオーフリー・アジアが2017年19一月に入手したウルムチ市河北西路社区の住民の信用スコアによれば、基礎点100点から、ウイグル人であるというだけでマイナス10ポイント、パスポートをもっているだけでマイナス10ポイントとなっている。
 そのほか、毎日礼拝している▼宗教知識がある▼中国のテロ関与国家リストに上がっている26力国(アルジェリア、アフガニスタン、アゼルバイジャン、エジプト、パキスタン、カザフスタン、キルギスタン、ケニア、リビア、ロシア、イラン、マレーシア、タイ、サウジアラビア、南スーダン、トルコなど)に行ったことがある▼海外に親戚がいる▼海外留学中の子供がいる▼海外でオーバーステイしたことがある、などで減点されていく。点数が低いと再教育施設送りだ
 新疆地域で就職している非市民を含め、住民は皆、身分証番号と住所、使用しているパソコン、携帯電話・スマートフォンなどの登録が義務付けられ、記者活動をしたことがあるかどうか、宗教信仰の詳細、宗教知識のレベル、行ったことのあるモスクの名前、パスポートの有無、海外渡航記録などを申告しなければならない
 さらに、所持している携帯電話には監視アプリのダウンロードを強制した。同社が開発したシステムはビッグデータテクノロジーを応用し、逃亡犯の追跡を可能にするとともに、瞬時に情報を地域の公安当局関係部門に転送し、公安当局の犯人逮捕に貢献している、という。
 同年7月、中国で発売されるすべてのパソコンにこの検閲ソフトのインストールが義務付けられるとされたことで、中国のネットユーザーのあいだで大反発が起きたことは日本でも「グリーンダム事件」として報じられた。
 中国では全国で監視カメラはすでに27億台が設置されている。一人当たりじつに2台の監視カメラが中国人民を見張っているのだ。しかも顔認識カメラは2018年暮れの2億台から2020年までにさらに4.5億台に拡大する計画だ。画面に映る人間の身元を数秒で割り出す高性能のカメラが中国人口2~3人当たり1台配備される勘定だ。その監視カメラの最大集中地域が新疆地域である。
 ダウンロードすると、ネット上のテロ絡みの情報、映像、サイトにアクセスできず、スマホ内のそうした情報も削除され、また自動的にそのスマートフォンのSIM情報、WI‐FIのログイン情報、使われているSNS微信や微博のログなどスマートフォンのなかの情報を公安当局のサーバーに転送するので、通話記録、交友関係、SNSでの私的発言などすべてが当局にまる分かりとなる
 これをダウンロードしていなければ、やはり再教育施設に入れられる。街中を歩いていると警察からスマートフォンの提示を求められ、インストールしていなければ、その場でインストールが強制され、またインストールを拒否したり一度インストールしたものを削除したりすると身柄拘束され、再教育施設入りというケースもある
 またGPSで24時間、居場所が分かる。スマートフォンの持ち主が普段と違う通勤路を通るだけで、警官からその理由を問われたことがある、という報告もある。

強制健康診断による血液・DNA・虹彩・指紋の採取

 こうした個人情報には、DNAや虹彩といった生体情報も含まれると見られている。英紙『ガーディアン』(2017年12月13日付)によれば、新疆当局が12歳から65歳までの新疆住民を対象に「無料健康診断」を実施し、血液、DNAおよび虹彩、指紋情報を採取しているという。これは建前上、地域住民の健康を守るためのサービスだが、強制性があり受診は拒否できない。こうした生体情報を個人情報とリンクさせているといわれている。
 『ニューヨークータイムズ』(2018年2月5日付)によれば、新疆の各市に配備されている「安全警務ステーション」「便民警務ステーション」(派出所、交番)では、道行くウイグル人たちに、抜き打ち的な身元確認として身分証とスマートフォン情報、虹彩情報の照合を頻繁に行っており、また銀行などでも本人確認を虹彩で行っているという。
 このDNA解析に関わる中国人科学者たちは、イェール大学の遺伝学者ケニスーキッド教授と調査データを共有しており、そのデータは遺伝子上から祖先にウイグル人をもつかどうかを血液サンプルから特定するために使われていた。DNAデータバンクは単なる犯罪防止のためだけでなく、民族プロファイリングや臓器提供者検索に利用するつもりではないか、という疑いも出ていた。
 また、中国のDNAデータバンク構築に使われる解析ツールなどは米バイオテクノロジー企業サーモフィッシヤーサイェンティフィックが提供していた。2019年2月、DNAデータベース構築ツールの中国への販売中止を決定している。
 こうした個人情報、つまり身分証明書、職業、宗教信仰、パスポートの有無、人間関係、家族関係、渡航経験、SNS上の発言、ネット上の閲覧・ダウンロード記録、生体情報、位置情報までありとあらゆる情報はビッグデータとして当局のサーバーに集積されている
 この中国の顔認識AIカメラを利用したハイテクネットワークによる監視統治強化は──数万人の群衆から約60人を割り出す──、じつは新疆地域に限ったものではない。これは天網工程、雪亮工程などと呼ばれる全国を網羅するシステムの導入の一環でもある。

 ◇ ◇ 共産党監視員による精神支配

 2019年の春節(旧正月)は2月5日だった。中国人にとってはめでたい新年を祝うこの日は、ウイグル人にとっては悲しみの日だ。新疆ウイグル自治区クルジャ市でウイグル人のデモを解放軍が武力弾圧し、100人以上の犠牲者と190人以上の処刑者を出したクルジャ事件のあった1997年2月5日を思い出すからだ。
 この事件は、改革開放後に起きたウイグル人弾圧事件としては最大規模であり、ウイグル人の心に深い傷となって刻まれている。だがこの悲しみの日に、クルジャ市で漢族役人たちが春節祝いの「貧困少数民族救済」という建前で、ムスリムにとって禁忌の豚肉と酒をもってウイグルやカザフの家庭を訪れた、とRFAが報じた。春節を祝う習慣のないムスリムのウイグル人に春節を祝うように強要するだけでなく、忌避すべき豚肉と酒を無理やり食べたり飲ませたりする。彼らは笑顔まで強要されているのだ。
 春節を祝う習慣のないムスリムに存節を祝わせ、ハラルを否定させ、イスラム風の服装をやめさせ、イスラム風の家屋を改造させるのだ。それを嫌々やらされているのではなく、喜んでやっているということを対外的に示すために、笑顔で楽しそうに漢族役人と交流している様子を動画などで流布し、またメディアに報じさせている。
 ウイグル人にとって何よりも辛いのは、こうした漢族役人の訪問を受けたときに、笑顔を貫かなければならないことだという。嫌な顔、抵抗の様子を見せようものなら、再教育施設に送り込まれることになるのだ。
 ウイグル人家庭に対する漢族公務員あるいは民間監視委員の突然の訪問、ホームステイは春節に限らず、頻繁に行われている。それはいかにも笑顔の多民族交流というふうに中国メディアで報道されるが、実態は私生活と心のなかまでずかずかと土足で入り込み、信仰と誇りと自由を奪うきわめて残酷な精神的虐待である。
 その残酷さは、『人民日報』(2018年11月8日付)の「新疆100万幹部が各民族群衆
と直接交流」という記事のあとに、外国人の目から見た漢族公務員のウイグル家庭訪問ルポ(「ニューヨーク・タイムズ」2018年12月20日付)「ウイグル家庭に乱入する百万人公務員」を読むと際立つだろう。

臓器移植ビジネスの生贄

 オムルは再教育施設で、血液検査や身体検査を受けたときに「臓器を取られるのではないか」という恐怖を覚えたと語っている。一般庶民のウイグル人まで管理のためにDNAや血液サンプルを提出させるのは異様だ。
 実際、ウイグル人が臓器提供者として狙われているという噂は90年代からあった。
 2011年頃、北京を訪れたとき、私は友人の中国人ジャーナリストから「日本人で腎臓移植を望んでいる人はいないか」と真顔で聞かれた。カザフ人の少女が腎臓を1つ売りたがっているのだ、と相談を受けたらしい。
 このときはなぜ新疆の農村くんだりから北京まで臓器を売りにくるのか、ピンときていなかったのだが、あとになって、新疆は一大臓器提供者市場で、ブローカーも多いということを知ったのだった。
 家族間生体移植は合法だが、実際は家族証明など偽装できるため、密売ルートの温床になっている。だがそれも、じつはそんなに多くない。中国は伝統的価値観もあってお金をもらってもドナーになりたくない、という人のほうが多いのだ。中国の土俗信仰では、遺体に傷つけることは辱めることだとして忌避する。いまだ火葬を嫌がる人も多いので、江西省の強制火葬が「残酷な政策」として強い反感を買うのである。「死体に鞭打つ」ことを最大の侮辱と捉えるのも、こういう価値観が根底にあるからだ。
 とすると、強制的に臓器を提供させることができ、膨大な血液検査やDNAなど生体情報が登録・管理されていて即時に適合検査が可能で、最近急に逮捕者や勾留者が増えていて、しかもその逮捕者・勾留者の身柄がどこにあるか家族にも教えてもらえず、生死安否が確認できない状況にある新疆ウイグル自治区のウイグル人、ということにならないか。
 ウイグル人が中国の臓器移植実験に利用されてきた歴史は、英国に亡命中のウイグル人医師アニワル・トフテイは「1995年、中国当局の命令を受けて死刑囚の臓器摘出を執刀した」との証言からも見えてくる。
 ウイグル人のとある男性が、長期間失踪後に家に戻ってきたわが子を連れてきて、失踪中に臓器を違法に取られていないか検査してほしいと頼んだ。男性が言うには、少なからぬウイグルの子供が失踪しており、臓器を取られているという。
 その男性が来たあと、同様の相談で来院してきた親と児童が3組あり、彼らの体には確かに手術痕があり、腎臓が取られていたのだという。子供たちは失踪期間中の記憶があいまいで、夢を見ているようなぼんやりとしたことをいっていた。子供たちの親たちは、子供が失踪したと警察に届け出をしても、取り合ってもらえなかった、という。むしろ子供たちが見つかることを恐れているようで、非常に消極的だったと。
 だが、車は途中から病院ではなく山の中へ向かっていった。助手たちと顔を見合わせて、どこに行くのだろうと不審かっていると、運転手が「西山処刑場」に向かっていると教えてくれた。「なんで刑場なんかに行くのだ?」とアニワルは思わず驚いていったそうだ。やがて車が止まり、主任医師は「銃声が聞こえるまで、ここで待たなくては」といった。
 なかには銃で後頸部から撃ち抜かれ、前頭部が吹き飛んだ遺体が数体あった。警官がアニワル達を見て、「どれがあなた方のものか?」と尋ねた。「怖くてたまらなかった」とアニワルは当時の心境を思い出す。「われわれのもの、つてなんだ? と思いましたが、聞くことはできませんでした」。
 主任医師は一番右の遺体のそばに立ち、アニワルに「急いでこの死体から2つの腎臓と肝臓を摘出しろ」と命じた。アニワルは注意して、その遺体の銃創を見ると、その遺体だけ銃創は胸にあり、後頸部ではなかった。ロボットのように命じられるままにメスを入れると、体がピクリとして、血が溢れた。「そのとき、分かったのです。心臓はまだ止まっていなかった。だから血流がまだあったんだ」。
 腎臓と肝臓は摘出され、個別に包装され、それを病院に持ち帰った。帰路につく前、刑場の主管が「覚えておくように。何事もなかった、と」と警告めいた一言をいった。その後、誰もその出来事について口にすることはなかった。
 それからアニワルは苦悩した。「モスクに行くたびに祈りました。私かやったことは故意ではないのだ、と』。その時の臓器提供者がウイグル人であったかどうかは覚えていない、という。
 新疆のウイグルを含むイスラム民族の臓器が高額でサウジアラビア人の移植手術希望者に譲渡されている可能性、そしてそれにサウジアラビア国家そのものが関わっている可能性があること。また、中国が捕らえている新疆のテロリストたちの収容施設は近年、沿海部につくられており、その施設の付近には必ず移植医療施設がある、とも指摘している。
 さらにいえば、。再教育施設や監獄で“死亡”したウイグル人の遺体はほとんど家族の元に戻ってこない。RFAが強制収容先で死亡したウイグル人リストを発表している。その数は2018年末で63人。ほとんど死因を説明されておらず、遺体も家族のもとに戻っていない。電話で一方的に火葬した、と伝えられるだけだ。そして、再教育施設の周辺やウイグル人密集地域になぜか火葬場の建設が増えており、火葬場職員・警備の急募がネット上に見られるようになったのだ。こういう状況では、疑い出せば疑心は深まるばかりだろう。
 移植希望者が現れてから、DNA登録がしてあるウイグル人のデータを検索して適合する相手を見付け、その人物を再教育施設に収容し、“個人の希望”でドナー登録し、“不慮の事故か病気で”収容先で死亡したとしたら、臓器を利用しても“違法ではない”と言い張ることはできる。
 こうした世界のモデルとなる高い臓器移植技術力の背後に累々と屍が積み上かっていること、ウイグル人ら特定の民族の人体実験によって成り立ってきたとするなら、素直に発展モデルとたたえる気持ちになるだろうか。

核実験の犠牲に──「死のシルクロード」

 アニワルがそもそも英国に亡命したきっかけは、新疆の放射能汚染問題の真相を知ってしまったからだ。(※「シルクロードの死神」で検索してみて下さい。)
 アニワルー行は医療機関内にもウイグルに潜入し、論文、内部文書を入手、専門家医師にも取材。それによると、90年代の新疆地域におけるがん発症率は中国その他の内陸都市と比較すると30%高く、とくにリンパ腫の比率が突出していたという。新疆地域で行われた核実験の影響を示す証言、資料、それを隠蔽してきたことを示す資料が多く確認された。
 こうして、BBCの特ダネとして多くの人に衝撃を与えたドキュメンタリー『死のシルクロード』ができるわけだ。またアニワルは素顔をこのなかで晒し、故郷には永遠に帰ることが不可能になった。アニワルはトルコに脱出後、英国に旅行ビザで入国、その後亡命を申請した。故郷に残された子供たち、家族には親子関係を離脱して身の安全を図ったが、親戚からも疎まれ、苦労した。18年後、アニワルと再会した娘は「恨んだことがあった」といったが、「死のシルクロード」を見て、父親が故郷を離れざるをえなかったことを理解したという。
 新疆ウイグル自治区のロプノール湖周辺では、1964年10月16日に最初の核兵器実験が 行われて以来、中国の公式発表で46回の核実験が行われたという。うち23回が大気圏内実験、23回が地下実験。1980年10月16日に最後の大気中実験、1996年7月29日に最後の地下実験が行われた。こうした実験については、新疆地域の住民に説明されることはなく、国際社会に対しても情報が隠蔽されてきた。
 放射線防護学の専門家の札幌医科大学教授の高田純の調査ではこうした実験によって、少なくとも19万人が急死し、急性放射線障害による健康被害が129万件以上、死産、異常出産などの胎児への影響が3万5000件以上と推計されている。
 この核実験による健康被害を受けた者のなかには、解放軍兵士も多くいた。2009年に天津で起きた退役軍人デモは、放射能による健康被害を訴える新疆兵役経験者200人によるものだった。このデモにより、退役軍人には健康被害の度合いに応じて毎月230元から4000元の補償が支払われることになった。
 一方、ウイグル人を中心とした一般人の健康被害には補償を出していない。急増する健康障害や異常出産については、地元では「宇宙から放射能物質が降り注いだため」という『自然災害」説が説明され、農民たちはそれを素直に信じて苦痛を受け入れていたとい。アニワルは平民にも兵士と同じだけの補償を与えるべきだ、とも訴えている。

ウイグル人の訴える悲痛な声

 トルコに亡命しているウイグル人男性は、母親と妻が強制収容施設に収容され苛酷な拷問を受けており、拷問を受け続けるならば、「銃弾の金は払うからいっそ撃ち殺してくれ」と訴える悲痛な声を、BBCは報じた。BBCはその後もこの問題を継続的に報道。再教育施設から生還しトルコなどに亡命したウイグル人たちから、施設内での拷問経験や、共産党歌を強制的に歌わされるなどの洗脳手段や、地元当局に対し、再教育施設に収容する人数にノルマが課せられていること、一部の村では村民の40%を収容するようノルマが課せられていることなど、詳細な内部の事情も報じられている。
 再教育施設内で激しい拷問が行われ、死者が出ていること、ウイグル人を中心にしたムスリム、チュルク語系の民族は現在、経済的に孤立させられ、言語、文化、宗教活動上で厳しい制限を受けている。
 中国当局がウイグル人記者の家族たちを勾留し人質にして、圧力を掛けていることについて、RFAは「こういう嫌がらせは珍しいことではない。とくにRFAのウイグル人記者、チベット人記者たちに対しては。だが、いまの(記者家族に対する勾留の)規模は過去最大だ」「記者たちはそのことで注目されたくない。なぜなら彼らは自分の家族がそういう目に遭いやすいことも自覚しているからだ」とNYTに説明していた。
 彼らの覚悟と勇気がなければ、こうした現在進行形のウイグル人弾圧の全容が国際社会にここまで注目されることはなかっただろう。

日本は軍事力、諜報防諜力、経済力や金融を背景にした強い国力が無い

 じつは、彼らは日本の人手メディアにも在日ウイグル人を通じてかなり早期から情報提供をしている。だが、日本の大手メディアの記者たちは英米メディアに比して、このテーマについてはかなり消極的であった、と彼らは言う。理由は、そういったメディアは北京や上海に総局、支局をもっており、そうした特派員たちがウイグル問題に手を出すと中国当局に睨まれて、中国における他の取材に支障が及ぶ、というものだった。
 このことについて不満に感じる人たちもいるようだが、日本メディアの中国駐在記者たちが英米メディアの駐在記者たちに比べて強い圧力を受けがちなのも確かだ。理由は簡単で、米国や英国と、日本とでは国力に差があり、中国における記者を含む邦人保護などでもその差が出るからだ。
 たとえば2019年5月現在、9人の日本人が。スパイ容疑ヽで逮捕、起訴されているが、日本は彼らの釈放のためにほとんど何の外交交渉も行っていない。せいぜい日本大使館関係者が定期的に見舞いに行って、差し入れをしているぐらいだ日本にはこうした面で中国と駆け引きできるだけの情報収集能力はじめ外交材料がないのだ。こうした交渉には、当然軍事力、諜報防諜力、経済力や金融を背景にした強い国力が必要だ。
 私か中国での取材経験で感じたことをいえば、欧米のメディアは「報道の自由」を貫くことを絶対正義と考えているので、多少の犠牲があっても、たとえば情報提供者が逮捕され、拷問を受けるなどの問題が起きても、さほど罪悪感をもたないでいる。逮捕した側が、絶対悪なのだ。また、もし協力者が逮捕されたりすれば、米国はこれを外交問題として取り上げ、その釈放に国家として尽力する。少なくとも米国記者たちには、米国がそういう正義を行使できる実力がある、という自国への信頼があるように思う。
 中国共産党のウイグル弾圧は、じつは日本でも行われている。留学や就職のために日本で暮らすウイグル人たちも、この中国共産党の民族弾圧の危機に哂され、日々恐怖を感じているのだ。
 日本には2000人前後のウイグル人、あるいはウイグル系日本人が暮らしている。私は東京近郊に暮らすウイグル人社会人、留学生たち約20人にインタビューしたが、その誰もが、家族の誰かを再教育施設に収容されていた
 同郷の妻と子供もすでに日本国籍を取得している。「中国で起きているウイグル人弾圧のことなど完全に忘れて、日本人として生きていく選択もできました。ですが、やはり私はウイグル人なのです」と語り、仕事の合間に、日本のメディアに対し、ウイグル問題を報道してくれるように働きかける活動を続けている。
 この活動を始めたきっかけは、父親はじめ親族が「再教育施設」に収容されたことだっ
た。
 70歳を超える父親を含め、親族10人以上が「再教育施設」に収容されている。父親が収容されたのは2017年夏のことだった。「父が入院した、と母親がいうのです」。何の病気?と問い質すと、口ごもる。それで、再教育施設に収容されたのだと察したという。
 すでに、いとこや叔父が収容されていたことは聞いていた。監視されているSNSのメッセージで「再教育施設」や「強制収容」という言葉が出てくると、それだけで新疆公安当局の“ブラックリスト”に掲載されてしまう、と信じられていた。実際、収容に来た警官から「収容されたことを外国にいる家族に話した」という理由で身柄拘束された、という例を他のウイグル人から聞いていた。だから、家族が強制収容されたことを、伝えるときはあいまいに「入院した」「学校に呼び出された」といった表現を使うのだ。再教育施設は、古い病院や学校施設を改造したものも多いからだ。
 悶々としていると1年後の夏、新疆ウイグル自治区当局から突然電話があった。ウマルの周辺の在日ウイグル人の名前を挙げて、彼らの日ごろの人間関係や言動の監視に協力するように、との依頼だった。当然、無視した。間もなく、収容中の父親のビデオメッセージがSNSを通じて送られてきた。
 スマートフォンで撮ったと思われるビデオのなかで、父親は「私は元気にしています。中国政府は素晴らしい。息子よ、中国政府に協力してください」とウイグル語で訴えた。「ムスリムの誇りである髭を剃られていました。げっそりと痩せて、焦点の定まらないうつろな目をして。声も、まるで原稿を読まされているようでしょう」とウマルは、スマートフォンでその映像を私に見せた。「ここを見てください。監視カメラがあります」とビデオ映像に映る父親の背後のカメラを指さした。冷静に話し続けていたウマルの声は、このときだけ、震えた。
 中国新疆当局は“スパイになれ”という要請を断ろうとするウマルに対し、父親を人質に取っていることを見せつけたのだ。父親がどうなっても知らないぞ、と。
 「私はこの日を境に、自分のSNSから家族のアカウントをすべて消し去り、故郷の家族とは一切の連絡を絶ちました。こういうメッセージをまた受け続ければ、同胞を裏切ってしまう、と思ったから」「父はこれで殺されるかもしれないし、もう殺されているかもしれないが、自分や家族を守るためにウイグル人の仲間を売ることはできません。父ならわかってくれると思いました」と、当時の苦渋の決断を振り返った。
 テロや迫害と無縁と思われる平和国家日本で、日本国籍を取得し、日本人として日本に馴染んで暮らしているとしても、ウイグルの血をもつというだけで、父親の命を盾に中国当局の魔の手が伸びてくるのだと思い知らされた。「自分の家族だけを守って、自分たちだけ安全に生活していくわけにはいかない、と思いました。ウイグル人として自分にできることはしなければならない」
     … …
 近くに暮らしていても、同じ大学にいてもお互いの顔を知らないウイグル人もいる。「ウイグル人学生同士でも、あまり付き合わないんです。中国当局と通じているスパイかもしれない、と疑ってしまうから」
 東京近郊の公立大学で経済学を勉強中の男子留学生ジョン(仮名)は、「2017年10月から家族と連絡が途絶えた。メールしても返事がない。人づてに父と弟が再教育施設に送られたと聞きました。婚約者の妻の父親も再教育施設に送られて、2017年10月に施設内で死亡しました。理由は分かりません」という。
 留学先からでは家族が収容所に入れられても、誰にも詳しくは事情を聞けない。監視されている電話やチャットでは“収容”という言葉を使うだけで収容所送りの理由になってしまう、と怯えているからだ。家族から「父が入院した」といわれれば、それは病院に入院したのではなく、強制収容されたのだと。察するしかない。
 切実な問題としては、一族の長が強制収容されると、学費や生活費の送金などが途絶えてしまうことだ。「勉強を続けたいし、帰国すれば私自身も再教育施設に入れられる。だからバイトを頑張って学費と生活費を稼ぐしかないが、留学生に許された週28時間のバイトではとても足りない。7月のビザ更新のときは、出入国管理局から呼び出されて(バイトが多すぎるので)厳しい質問もされました。ウイグル人が直面している事情を説明しても、なかなか理解してもらえなくて」とジョンは訴えた。
 地方の大学院で博士号を取得し、今年から東京で就職、幼馴染と結婚もしている32歳のトム(仮名)は「本当は卒業後、日本で得た学位と知識をもって故郷の大学で講師になる予定でした。ですが、母親と岳父が次々と強制収容されました。理由は私が留学したから。私も家族も新疆独立など政治的な興味は皆無で、故郷に貢献したいと思って留学しただけなのに」。彼の懸念はパスポートが2019年夏に切れることだ。在日中国大使館は、ウイグル人のパスポートの再発行手続きは中国本国でやらねばならないという。だが、おそらく帰国したとたん再教育施設行きだ。実際、パスポートが更新できず帰国したあと、消息不明になったウイグル人留学生は1人や2人ではない
 「せっかく就職できてビザももらえる。なのにパスポートが切れたら、どうすればいいのか」。頭を抱えるトムの隣で、妻が涙ぐんでいる。彼女は妊娠していた。「子供が生まれたら、その子のパスポートの発行手続きもしなきゃいけない。それもいまから悩みなんです」
 「会社を経営している叔父が収容されました。財産も没収されたそうです。僕は叔父の資金援助で留学しているので、学費や生活費に困ってしまいました。いまは知り合いにお金を借りたり、バイトを増やしたりして頑張っています。叔父は経営者として共産党の人たちともきちんと付き合ってきたのに、なぜ再教育が必要だったのか。僕の留学を支援したせいでしょうか」と、地方の公立大学2年生のジョブはうつむいていた。
 奨学金を受けて博士課程に留学中のエリーはいう。「父も兄弟も収容されています。心臓病の母親だけが一人取り残されて、心配でたまらないけれど、それでも私は勉強しにきたんだから勉強しないと、と思って必死に勉強している。本当は、母とももっと連絡を取りたい。でも話すと、誰に盗聴されているかも分からなくて、うっかり何かいえば、母まで収容されるかもしれない。本当に、夜中に叫びだしたくなるほど不安なんです。でも誰にも何もいえなくて。大学に行けば、周りは漢族の学生ばかりで、怖いです。このなかに私を見張っている人がいるかも、と思うと。いま抱えている悩みや不安を大学の先生に相談しても、たぶん分かってもらえないし、変に気を遣われて漢族学生と区別されるのも嫌だし、どうしていいか」。話しているうちに、彫の深い目からぽろぽろ涙がこぼれてきた。
 「こんなに自分の気持ち、人にいうことないんです。ウイグル人留学生同士だって、こんな風に自分の境遇を語り合ったりしない。スパイじゃないか、と疑いはじめたら切りがないから。いま、こんなふうにみんなの話を聞いて、同じ苦しみのなかにいるんだと気付いた」と、東京で建築学を勉強中のソフィアはいった。彼女も父親が収容されている。ウイグル伝統建築に関する研究テーマに挑む彼女は、本当はフィールドワークに新疆に戻る必要がある。だが、戻ってきたら再教育施設に入れられる可能性があるので、研究が進まない。「家族のことが心配。自分の研究が進められないのも悔しい。途方に暮れている」という。
 彼ら、彼女らと引き合わせてくれたウマルはいう。
 「家族が強制収容され、1年以上も顔を見ることも言葉を交わすこともできず、安否や居所すら分からない苦しみって、死別よりも苦しいかもしれない。ある意味、シリアの内戦よりも残酷なことだと思います。戦争なら世界中が、そこで悲惨なことが起きているって認識してもらえますよね。でもウイグル人が受けている迫害は、たぶんよその国の人の目からはなかなか分からないのです」
 ウイグル人はその苦しみを外に向けて発信しようとしても、中国から脅されていえないし、外国のメディアから見ても、内戦の現場みたいに、ひと目見て「ひどいことが起きている」とはなかなか認識できない新疆ウイグルに旅行に行った外国人は、たぶん笑顔で観光客に応える幸せそうなウイグル人ばかりだと思うかもしれないなぜなら彼らは笑って満足そうに振る舞って共産党に感謝してみせないと、再教育施設送りになるからだ
 一見、平穏な新疆ウイグル自治区の街や村で、ウイグル人は厳しい監視下に置かれ、家族がある日忽然と消えても、収容先で急死しても、何事もなかったかのような幸せなふりで“日常”を営まねば、今度は自分が収容されかねない、という恐怖を抱えている
 「人からは見えないそんな苦しみを抱えながら、学費や生活費の心配も抱えながら、それでも必死に勉強を頑張っているウイグル人留学生のことを、少しでも日本の人たちに分かってほしい。もし可能なら、中国大使館からパスポートを更新してもらえないようなウイグル人留学生に対して、何か特別の措置を講じてほしい」
 この言葉は広く日本人に知ってほしい。移民法と呼ばれる改正入管法によって安価な労働移民の緩和を急ぐより、宗教的理由・政治的理由で迫害されて故郷に帰ることのできない留学生難民に対する受け入れの緩和のほうが、よほど優先されるべきではないだろうか。日本語が堪能で、志をもって留学にやってきた優秀な学生たちに勉学を全うさせて、日本社会に貢献する人材として育て上げることは、間違いなく日本の利益と合致するのだ。

親から引き離され中国人化される子供たち

 再教育施設への強制収容問題に伴って起きてくるのは、親たちが収容されているウイグル人の子供たちの養育問題だ。
 国際人権組織ヒューマンーライツーウォッチのリポートによれば、中国で100万人のウイグル人が“再教育施設”に入れられると同時に、その子供たちが親族のもとから強制的に連れ去られ、福祉の名のもとに公営孤児院に入所させられるケースが続出している。中国の法律(修養法)では、こうした孤児院が強制的に子供の養育権を親族から取り上げる権利は認められていない。
 だが、新疆ウイグル自治区の書記の陳全国が2016年11月に「すべての孤児を2020年までに公営孤児院に収容するように」と各下級地方政府に指示を出した。この後、2017年1月に政策実施ガイドラインが発表され、各地域に100人規模の児童が収容できる“孤児院”の建設ラッシュが始まった。2017年の新疆地域の孤児院収容率は24%だったが、2020年にはこれを100%に引き上げる、というのだ。
 県レベルで収容孤児数の達成ノルマが課され、そのノルマに達しないと公務員たちは政治成績が減点される。このため、祖父母や叔父叔母らきちんと保護者がいる子供を“孤児”にして無理やり引き離し、孤児院に収容するケースがあるという。親族は強く抵抗すると自分が再教育施設に入れられる恐れがあるので、抵抗できない孤児院に連れて行かれた子供はその後、親族とほとんど面会の機会もなく、完全にウイグルの家族と切り離されて教育を受ける
 ウイグル人は一族意識が強く、もともと大家族制だ。本来、両親がいなくても親族が責任をもって子供たちを養育する伝統がある。また、もともと中国における公共の孤児院に対する不信感は強い。実際、孤児院による子供の強制労働や迫害の問題がニュースとして報じられることも少なくない。
 中国当局の狙いは、ウイグル人の徹底した中国人化であるから、再教育施設で大人を中国化する一方で、子供たちの統一教育を強化すれば、きわめて短時間でウイグル人全体を中国人化できる、つまりウイグル人の価値観、伝統、文化を完全に消し去ることができる、と考えた。だがヒューマンーライツーウォッチはこれについて法的根拠がなく、しかも中国が批准する国連の「児童権利公約」の序文にもある「家庭とは児童の成長と幸福のための自然環境」という定義に背く、と批判している。
 あるウイグル人がヒューマンーライツーウォッチに証言したところによると、親がいても孤児院に収容されるケースもある。父親が“再教育”を受けている10歳の児童が、母親と親族と一緒に暮らしていたが、その子供は孤児院に収容された。母親は週に1度、短時間の面会を監視の下で許されている状況という新疆南部の大家庭の5~15歳の子供は、親のいるなしにかかわらず、孤児院に収容されているという。
 親がほとんど言いがかりのようなかたちで“再教育施設”に収容され、その行方が分からないだけでも幼い子供にとってショックなはずなのに、今度は馴染んだ家から連れ去られ、隔離されて、祖父母や親戚など頼りになる大人だちとも会えなくなってしまうのだ。これはど残酷な精神虐待があるだろうか。つまり、これは児童福祉の建前を使った子供に対する洗脳教育の強制であり、特定の民族に対する迫害であり、同時にきわめて残酷な組織的な児童虐待といえる。

農場の家畜のように押し込まれる

 さらに、こうしたウイグル家族からの子供の隔離政策は“寄宿学校”の増設という形でも表れている。孤児院は両親が死亡、あるいは失踪している子供を収容する施設だが、寄宿学校とすれば、両親が健在でも子供を隔離することができる。AP通信(2018年9月21日)によれば、中国で少数民族言語しか話せない子供たちを教育するための強制性のある寄宿学校が1000以上つくられており、子供たちに徹底的に漢人教育を行うという。
 AP通信がイスタンブールの亡命ウイグル人に取材した話では、2014年に9歳のわが子を強制的に寄宿学校に入学させられた、という。週末は帰宅が許されていたが、母親が病弱な子供のことを心配して1度、学校に様子を見に行った。すると、その学校は窓に鉄格子がはまり、家族も教室に入ることが許されなかったという。
 またRFAが新疆南部の孤児院関係者に取材をしたところ、孤児院は子供が多すぎて、まるで農場の家畜のように柵で仕切られたスペースに押し込まれている、という。孤児院は“子供の福祉”という名目で、大量の寄付金・支援金を得てはいるか、子供のためにはほとんど使われていないようで、食事も週に1度肉類があるだけで、ほとんどはおかゆである、などの問題が指摘されている。
 もう1点補足すると、ウイグル人の父親が“再教育施設”に収容され、若い妻と幼子が家に取り残されていると、漢族男性の公務員や党員が“お世話係”と称して家に上がり込み、いつの問にか父親の座に居座ってしまうケースもあるという。
 新疆の“再教育政策”は、ウイグル人の大人を“再教育”の名のもとに強制収容し、ウイグル人の子供たちを福祉の名のもとに隔離し、ウイグル的大家族を分断し、洗脳を行い、ウイグルの宗教、伝統、文化の継承を断ち、ウイグル人を中国人化してウイグル人そのものをこの世から消し去ろうという一種の“民族浄化”プロジェクトなのだ
 それは、中国共産党がめざしている国家ビジョンが口でいっているような多民族国家ではなく、中華民族国家であり、そのために、中華民族意識に染まらないウイグル人らを文化・伝統ごと“抹殺”せねばならない、と考えているからではないか。そしてウイグルの知識人、著名人、文化人、成功者を弾圧することは、ウイグル文化の継承者の血を断つという意味である
 ウイグル語教科書については「文学、歴史、道徳分野には、民族分離を煽る内容が含まれており、それを12年間も現場で使ったため、大勢の若者が深刻な洗脳を受けた」と糾弾されている。民族の言葉と誇りを子供たちに教えただけで、死刑(執行猶予付き)など、本当に21世紀の国家がすることだろうか
 ウイグル学生のための奨学金支援を行ってきたイリー(リス基金の創始者のアブリミテ
イ・オシュル・ハジや貧しい子供たちのための寄宿学校「ヌルタイ・ハジ学校」を建設した
ヌルタイ・ハジをはじめイリの4宝と呼ばれる慈善家、経営者4人らも逮捕されたのも、やはり彼らが教育に携わっていたからだろうか。彼らはメッカに巡礼に行ったことなどが「承認されていない巡礼に行った」「過激化の兆候あ」と見られて逮捕された
 だが同時に、本当は資産の没収が目的ではないかともいわれている。実際新疆地域で、銀行に100万元以上の預貯金がある資産家、経営者が集中的に拘束され、その資産がすべて当局によって差し押さえられ、持ち去られているのを見れば、そういう疑いをもたれてもしかたない。
 こう考えると、新疆ウイグル自治区で起きていることは、まぎれもなく「文化大革命」であるといえるだろう。新疆版文化大革命、あるいはウイグル版文化大革命だ。このまま中国共産党のウイグル政策を放置しておけば、おそらく10年もたたないうちに、ウイグル語とウイグル文化、音楽や文学や詩や絵画、民族固有の伝統美や習俗がことごとく失われるだろう。ウイグルの子供たちは自分の本来のアイデンティティを失い、紅衛兵のようにみずから自分たちの伝統文化を否定し、両親の“危険な思想”を共産党に密告するようになるかもしれない。
 そして、この中国が自慢げに語る反テロ・脱過激化闘争の成果を素直に納得し、称賛できる人間は民主主義の自由主義社会には存在しまい。もし本当にこの2年間、新疆で暴カテロ事件が起きていないというならば、その理由は新疆全体が監獄だからだ。監獄のなかで犯罪は起きない。この世で最も治安が良い世界は監視のいきとどいた監獄中であることは間違いない。だが普通の監獄ならば、刑期を終えればいつか外に出られる。“新疆監獄・はウイグル人が死滅するまで出られない。
 いまの中国共産党はIT技術やAI技術、ビッグデータなどを駆使して監視システムを実現し、少数権力者による多数の囚人の監視と、その規律化・従順化の手法を得ている(※だから、G5技術は彼ら共産党の黒い貴族の生命線であり、世界を牛耳る覇権の切り札でもあるのです)。
 彼らはウイグル人はテロリストでも過激派でもない。彼らは21世紀最大の民族迫害、そして精神迫害に苦しむ受難者だ。そこから脱して自由を求めようとすることは、人として当然のことなのだ。新疆の状況を見過ごすこと、あるいは反テロリズムの成果として肯定することは、たぶん私たちの明日の世界がどう変わるか、私たち自身の精神の自由が守れるかということにもつながってくる。この問題を軽く見てはならないと思う

日本にとってのウイグル問題

 ウイグル問題が日本にとって重要だと思う個人的な見解を述べたいと思います。
 ウイグル問題の現状の非道さと、ここまでに至るプロセスを見ると、大国の欲望に翻弄された弱小の民族の悲哀に胸が詰まります。米国、米中新冷戦構造のなかでウイグル問題を人権問題としていまでこそクローズアップしていますが、では米国がアフガニスタンやシリアで行ってきた干渉や「テロとの戦い」が絶対正義であるか、といえば、その答えを躊躇する人は少なくないと思います。米国も中国も本質は力の信望者だ、と私はあまり長くはない記者生活で実感してきましたひ国際政治の本質も、強者の論理で動くものです。日本は国家の要である国防ですら米国にほとんど依存し、米国の同盟国という立場で国際社会での発言権を得てきたのですから、そういう強者の論理に物申すこともなかなかできないものです。
 ただ、日本には米国や中国やEUやその他の国とかなり違って、強者の言うことが絶対正しい、というところとはまた別の価値観をもっている人が多いのではないでしょうか。もちろん、昨今は日本でも力こそ正義、という考え方が増えている気配はします。圧倒的に影響力をもつ発言者がマイノリティの意見を封じ込め、金をもつものが市場を制し、強い者同士がつるんで弱者を排除する構図というのは、昔よりも最近のほうがよく見かける気がします。
 そうはいっても日本人というのは、弱者に対する共感力というのがやはり強い。「判官びいき」という言葉があるように、どちらの味方でもない状況であれば、自然、弱いほうに肩入れしてしまう性質です。
 2019年春、東大の入学式典での祝辞で、著名な女性社会学者の上野千鶴子さんが「弱者が弱者のまま尊重されるべき社会」を語ったことがちょっとしたニュースになりましたが、「弱者が弱者のまま尊重されるべきだ」と素直に思える人が多いのは、とっても日本的ではないか、と思いました。中国では弱者は負けて、九族に至るまで殲滅させられる歴史がありました。「水に落ちた犬は叩け」と普通に考えています。弱者は奪い尽くされ、尊厳まで踏みにじられる、という現実がまだあります。米国だって、弱者に対する人権意識は中国よりもあるとしても、「弱者を尊重する」というところまでは行かないと思います。弱者のままで尊重されるのであれば、厳しい競争を勝ち抜いて勝者になることに固執する必要はない。弱者は敗者であり、正義は勝者にあり、というのが米国流です。日本のように「弱者でも敗者でもプライドは失われない、尊重されるべきだ」という社会は、むしろ国際社会では珍しいでしょう。
 弱者は敗者となり、敗者は徹底的に従属させられる。それが米国だろうが中国だろうが、民主主義だろうが社会主義だろうが、国際社会の本質ですでも日本には弱者であること、敗者であることに、そこまでの屈辱感はありません。むしろ美しく負けることへの美学や、潔く散るものへの憧れがあるでしょう。敗者がヒーローになる物語は枚挙にいとまがありません。
 こういう日本人の性質はどこから来るかといえば、私は単純に強者に支配され、蹂躙された歴史の記憶がほとんどないからではないかと思っています。漢族の強い華夷思想が、被支配民族としての記憶から来るコンプレックスの裏返しだと喝破したのは東洋史家の岡田英弘氏だったと思いますが、日本はそういう強いコンプレックスを植え付けられるような厳しい民族の蹂躙を受けたことがなかった。
 蹂躙を受けたものは、蹂躙された理由が自分たちの弱さが原因であると考え、強さを渇望し信奉し、強いほうに必ずつく習性を身につける。あるいは必死で力をつけ、強者になろうとする。それが「強さが正義」という価値観になっていくのだと思います。
 でも日本人は異民族の蹂躙を受けず、海に囲まれて四季豊かな島国で安穏と暮らしてきた。外部からの侵人を受けるのは黒船以降で、それでも完全に支配はされず、一時期は他国を支配しようとする側にも回った。先の大戦には負けたけれども、国体を失うことも独自の言語・文化を失うこともなかった。それは国際社会においては奇跡に近いものだったと思うのです。日本は奇跡的に、民族の文化や言語や伝統、その自立を蹂躙されず、独立と平和と日本人としてのプライドを守ってこられた。だから、争いよりも「和をもって貴し」という価値観がいまなお続き、激しい競争に勝ち抜くよりも、身の丈にあった幸せを大事にする、足るを知る、ということを重視する
 そんな日本人は弱者への共感力があるので、ウイグル人の話を聞けば、誰もが同情する。ですが、蹂躙された経験がないので、ウイグル人が命懸けで抵抗運動を行っていることに関しては理解がついていけません。テロはいけない、暴力はいけない、そこまで抵抗しなくてもいいんじゃないか、という話で終わってしまう。日本人がウイグル問題にいま一つ関心をもてないのは、遠い西域で起きている事象ということに加えて、言語や文化や習慣や信仰を否定され、蹂躙されることの屈辱に対する想像力が及ばず、最終的には、自分と関わりのない宗教が原因の暴力沙汰と見て、距離を置いてしまうのではないでしょうか。
 ですが、この本をすでにお読みになった読者の方々は、問題はそんな単純なものではないのだ、ということをご存じです。
 なので、私は日本人としてウイグル問題に対しては、3つの視点をもってアプローチしてほしいと思います。
 まず、多くの日本人がもつ弱者、虐げられた人々への共感力は美徳の一つです。弱者が弱者として尊重されるべきだという気持ちを、世界の大国に虐げられている民族、小国の人々に対してももちたいものです。そしていま、日本がいちばん身近に感じるべき大国の横暴は、隣国の特定の民族に対する蹂躙ではないか、と思います。なかでも、21世紀最悪の民族文化クレンジングといわれているウイグル問題やチベット問題ではないか、と思います。
 次に、日本は自分たちもじつは、国際社会においては米国の庇護に頼る弱小国の面もある、ということを自覚したほうがよいでしょう。世界第3位の経済体であると考えて大国意識をもっている人もいますが、国家の要諦の一つである国防軍をもっていない時点で、単独では外交力を発揮できない弱々しい国なのです。私たちが大国の一つのような存在感を発揮できるのは、背後に米国があることが大きい。その事実は否定できないのではないでしょうか。
 ですから私たちもいつ、どんなかたちでいまのウイグル人のように大国に翻弄され、国土や文化や言語や伝統や誇りを奪われたり、破壊されたりする目に遭うかも分からない、という想像力は必要でしょう。
 ウイグル人の友人はよく、私にいいます。日本は中国に侵略されるという恐怖は感じないのですか? と。普通の日本人ならそんなことは絶対ありえない、と笑うでしょう。ですが、彼らは「中国人民共和国は建国後間もなく東トルキスタンとチベットの土地を奪い、その土地の人々を従属させ、伝統や文化を破壊し続けているのですよ」という。それは遠い昔のことではなく、この70年のことなのです
 中国には。中華民族の偉大なる復興・プロセスにおいて今後、必ず取り戻したいと思っている土地があります。台湾、南シナ海の島々、インド国境、外モンゴル、ロシア国境、そして日本の沖縄と尖閣諸島です。中国の拡張主義の強い原動力である大中華意識の本質は、被支配民族としてのコンプレックス。かつて「日本に支配された記憶」「日本人に蹂躙された記憶」を原動力に、どのような手を使っても沖縄・尖閣(中国語では琉球・釣魚島)を回収しようと考えています。いまは世界最強国家の米国の最重要同盟国という立場が、中国の欲望を牽制しているのだとすれば、米国の力が衰えて中国が台頭し、国際秩序の枠組みが大きく変わってくると、日本も領土を奪われたり、母語や伝統・文化を破壊されたりする目に遭うことも十分考えられる。そういう想像力をもてば、同情するだけでなく「ウイグル人に対する迫害者である中国の脅威というのは、日本にとっても切実な問題だ」と捉えられるでしょう。他人事ではない、と捉えることが重要と思います
 三つ目に、ならば日本としてできることはしなければならない、と考えることです。
 たとえば本書でも取り上げた“一帯一路戦略”への関わり方です。2019年4月に北京で開催された一帯一路国際協力サミットフォーラムに、安倍晋三首相の特使として参加した二階俊博・自民党幹事長は、習近平と会談したあとの記者会見で「米国の機嫌を窺いながら日中関係をやるわけではない」と語り、中国メディアも見出しに取って報じました。
 ですが、もし日本が大国の機嫌を窺わずに外交ができるのであったら、きちんと中国の人権問題について言及すべきだったと思います。一帯一路の起点である新疆ウイグル自治区では、ナチス・ドイツのユダヤ迫害に匹敵する大規模な民族文化クレンジングが行われている。そんな戦略に、いくらビジネスチャンスが見出せるとしても、日本としては無条件に協力はできない、とはいえなかったのでしょうか
 運命共同体構築の理想を掲げるなら、まず他民族の思想と信仰と言論の自由を尊重しなければいけない、という日本人の価値観を明確にしなければ、一帯一路戦略への協力は、大国への小国搾取や民族文化クレンジングに加担したことと一緒にはなりませんか
 一帯一路沿線のイスラム過激派支配地域では、いまや彼らの敵は米国ではなく中国です。一帯一路への投資国家や企業、国民も彼らの敵意に哂される可能性が強い。そうした“テロリスト”のなかに、ウイグル人も混じっているかもしれません。一帯一路に日本が関わるなら、ウイグル人に対する弾圧をやめさせる方向でコミットしていかなければ、われわれが弾圧するほうになるかもしれません。
 いま世界で起きていることは、一見個別の事象に見えて、じつはつながっていると思うのです。ウイグル問題も一帯一路も、米中新冷戦も朝鮮半島や台湾、シリアやイランの情勢も、ブレグジットに揺れる英国やEUも。それはいま、世界全体の枠組み、秩序や価値観やルールといったものが大きく転換する時期で、主立った大国、とくに米中がその主導権を取ろうと争っている、ということです。複雑な碁盤のような世界の上で、プレイヤーたちが石を置いてきたそのゲームの終盤に来ている、というイメージでしょうか。
 過去のこうしたヘゲモニー争いは、戦争でたくさん殺したほうが勝ち、という単純なものでしたが、いまはこれに経済、金融、情報などが加わり、単純な戦争ではない。でも戦争です。戦争の定義や規模が変わっているだけです。多大な犠牲が伴い、そのほとんどが弱者にしわ寄せが行く強者のルールで行われる世界を巻き込むゲーム、それが戦争だともいえるのです。
 日本は残念ながらプレイヤーになれないし、なろうとも考えていません。ですが、この壮大な犠牲を伴うゲームの果てに決まる勝ち負けが、次の時代の国際社会のルールメーカーを決め、秩序やフレームが決まると思えば、米中の狭間にある日本も必ず巻き込まれるのです。そこで日本が問われるのは、自分たちはどういう価値観で、どういう立場でこのゲーム、戦争に関わっていくのか、あるいは関わらないのか、ということです。
 それを考えるために、ウイグル問題はよいヒントになると思います。私自身は、虐げられる人々への共感と中国の脅威を切実に捉える立場でその現状を理解した結果、いま起きているヘゲモニー争いにおいて、中国の大中華主義的な独裁の台頭を牽制する側に立つことが、日本と日本人にとってよりよい選択ではないか、と思うに至りましたが、皆さんはどうでしょうか。答えは一つに限りません。十分な答えを導くには拙著では物足りないでしょう。ですが、少しでもウイグル問題に興味をもっていただければ、ありかたいです。
 最後に、2009年7月5日のウルムチにおける悲劇のちょうど10年目を目前にしたタイミングでこの本を出せる機会をいただいたことに、関係者各位にお礼を申し上げます。ウイグル問題の専門家でもない私かこの本を書くために、在日ウイグル人の方々、留学生の方々から多くのアドバイスをいただきました。留学生の方々には日本で平和に心行くまで勉学、研究を全うできること、また日本で生きていこうという方々には穏やかで充実した自由な暮らしが全うできること、そして故郷に残されているご家族が平和と自由を一刻も早く取り戻されることを願って、あとがきといたします。


中国(漢民族)では人民は最凶の暴力装置

 14億人民一人につき2台の監視カメラがある。そうしたデータは貴州省ほか京津冀(北京、天津、河北)、珠江デルタ、上海、河南、重慶、遼寧省・瀋陽に展開されているビッグデータ産業基地で集禎され、ビッグデータ市場を形成しつつある。このビッグデータ市場は2020年に1兆元規模に成長するものとして、海外のIT、AI、loT、フィンテック企業もビジネスチヤスを狙っているのですが、中国の場合、こうした膨大なデータは中国共産党及び政府、公安警察と共有され、人民管理・コントロールにも利用されている。つまり、企業の金儲け主義が共産党の人民監視と処罰に献身しているのです。また、こうしたデータ収集は外国人旅行者なども例外でない。
 中国人の友人が、車で遠出するときに余分なガソリンを購入したことがあった。すると夜中に公安警察が家に来て、「何のためにガソリンをそんなにたくさん買うのか?」と尋問されたそうだ。当然だが、とても不快な気分になったそうです。
 一方で、こういう社会を肯定する人もいる。「中国はいまだかつてないほど治安が良くなった」と。置き引きやスリといった犯罪はなくなり、タクシーやレストランのテーブルにうっかり忘れてきたスマートフォンも返ってくるようになった。(※即ち、ウイグルと同じで、監視処罰社会だからです。)
 人や車の信号無視、ゴミやたばこのポイ捨てなどのマナー違反も急減して、快適で安全
な都市になったと言います。「中国人はマナーが悪いという評判が根付いているが、こういう監視システムのおかげで、みんなお行儀よくなった」と言います。
 監視社会を肯定する反応は中国人独特のものではないかと思う。中国人の人間観は、基本的に性悪説です。人類創生の神話というのはどこの国にもありますが、こうした神話はその国の国民性というか人間観を反映している。
 中国の人類創生神話は、女蝸という女神が泥人形を作るところから始まります。最初は丁寧に一体一体作っていたのが、途中から面倒くさくなって、縄を泥に浸して振り回し、飛び散った泥の滴が人間となりました。なので、中華世界では丁寧に作られた優秀で徳の高い選ばれし人間(泥人形から作られた人間)と泥の滴に過ぎないレベルの低いどうでもいい人間と、生まれながらに差があるのです。
 中国の指導者や官僚や知識人、つまり選ばれし優秀な人間は、中国の大衆は無知蒙昧で、きっちり支配し、導いてあげないと動乱が起きたりして、めちゃくちゃになってしまう、と考えている大衆側も、臆病で怠惰なので、自分でものを考えたり決断したりするより、リーダーシップのある強い指導者に導いてもらう方が楽だと思っている人が少なくない。だから、独裁者待望論があり、皇帝制度=共産主義でないと、中国人=漢民族は統制できないのです。
※日本軍が南京城に入場すると、ナポレオン皇帝を迎えるようだったそうだ。つまり、一般中国人にとって、都合の良い指導者なら外国人でも誰でもよく、彼らは皇軍に中国を支配してくれと頼んだという。この話の裏付けがやっと取れました!そして、前頭葉の未発達から、感情が独走して、抑えが利かない遺伝子から、口から泡をふいて気絶してしまうのも理解できる。
 つまり、現在の中国人(夏殷=カイン=魔族の子孫は常に獅子身中の虫として体制を内部から腐敗させ崩壊させてきた)は、自由や人権よりも、中国人は管理監視社会において従順となる。だから、諸外国に出て行けば、その野蛮性が発揮されるというわけです。きっと、中国や朝鮮人付き合うコツは、この管理監視制度でなのでしょう。
 世界最大のサイバー市場を誇る中国は、自国サイバー内では誰であろうと中国共産党の支配ルールに従うことを義務付けました。外国企業は、中国のサイバー内でビジネスチャンスを得るためには、中国のサイバールールに従い、時に言論の自由弾圧に加担することも求められるようになりました。
 個人の内部にため込んだストレスが、それは時に、集団ヒステリーのように全員が一斉に同じ方向を向いて走り出すような熱狂を生むのです。長らく圧政に堪えて心の底に不満や不安を蓄積していた人民が、なにか政治の風向きに異変を感じたとき、あるいは新たな強者を見出したとき、一斉に一つの方向に走り出す「文革」の熱狂など、日本人には到底理解できないと思いますが、中国でしばらく生活して中国社会やその気質を理解してくると、「なるほど、この国では文革のようなことが今でも起こりうる土壌があるのだな」と気づくはずです
 私は1998年の反米デモや2005年の反目デモを、現場で、学生や大衆のど真ん中で見てきましたが、昨日まで米国に留学したいと言っていた学生が米領事館前でシュプレヒコールを叫び、アニメや漫画が好きで日本語を話すような学生までが「造反有理」と叫びながらデモに参加していました。
 その熱気・狂気が一段落したときに、反日デモに参加した日本アニメ好きの学生に、「日本が好きだと言っていたくせに、なぜデモに参加したの?」と問い質すと、「空気に呑まれてしまって……」と気恥ずかしそうに言いわけしていました。鬱憤や不満が心にたまっているとき、「こっちの方向にはけ囗があるぞ」と号令をかけられると、泥の滴から生まれたような大衆は、その方向性が正しいのかどうかを自分で判断するよりも先に、熱気に伝染するように「造反有理」とばかりにワーツと暴れてしまうところがある。
 中国では大衆を支配するのに2本の竿が必要だと言います。それは銃竿子(銃=軍事力、暴力)と筆竿子(ペン=メディア、宣伝)です。この2本で大衆心理をコントロールし管理すること、これが独裁の基本なのです。
 逆に言えば、この2本のどちらかでも失い、大衆心理をコントロールできなくなった途端、大衆は方向性を見失い、集団ヒステリーを起こして「乱」を起こす。中国の歴史で王朝の交代というのは、たいてい農民、大衆の反乱から起きました。ですから中国の為政者が最も神経を使うのは大衆の管理とコントロールなのです
 中国人は泥の滴のように無知蒙昧で、臆病で、怠惰でコントロールしやすく、独裁には好都合な大衆ですが、圧政にいじめられ、恨みや不満をため込んだ大衆へのコントロールカを失うと何か起こるかわからない「乱」となるのです中国で「人民が最大の暴力装置」といわれるゆえんです
 中国の泥の滴から生まれたような大衆は臆病で怠惰で嫉妬心が強い。自分が貧しいのは、自分の努力や才能が足りないのではなく、この不条理な社会を作る誰かが悪いと考えるこのとき、中国共産党中央政権が悪いと思っていても、身を守るためには、二番の強者は誰か」ということにも敏感なのです彼らは、一番の強者ではない、中間の強者である官僚や金持ちビジネスマンがやっつけられることに快感と安心を覚えるのです
 偉そうにしていた官僚がテレビカメラに向かって涙ながらに反省し、視聴者に許しを請い、党中央の裁きに従う姿は、貧しい境遇で現状の暮らしに漠然と不満を持つ大衆にとっては格好のうっぷん晴らしになりました。同時にこれは「一番強いのは習近平である」という宣伝にもなりました。ちなみに、このプロセスに司法は関係ありません。司法よりも重要なのは、「彼らをやっつけ、裁きをつけているのは、党の核心にして最強の権力者・習近平である」というアピールなのです
 最初は腐敗官僚や金持ちを習近平政権がやっつける様子に喝采を送っていた庶民も、現実の自分たちの暮らしが一向に良くならず、むしろ若者の失業者は増え、家賃や不動産は値下がりせず、豚肉や食用油、米などの生活費が高騰していることに気づき始めました。
 習近平政権の反腐敗キャンペーンは、実は権力闘争であり、実社会がより良くなることとはまったく別次元の問題であることに気づいてくると、こうした宣伝効果は薄れてきました。

人民監視を行う為の社会スコアー制度──皇帝独裁が目的

 建前上の目的は中国の社会秩序、社会信用環境及び経済流通システムを一体化させて構築するためです。社会主義市場経済を完遂させるために中国で欠如している誠実さと信用性の水準を向上させる、というのです。ですが多くの人が、これは人民の行動・思想をコントロールする統治ツールだと思っています。そして、共産党に少しでもそぐわなければ、ブラックリスト入りさせられて、人生を狂わされる場合だってあるわけです。
 実はこの市民に対する信用格付けは、なにも中国人だけを対象としているのではありません。中国で働く外国人に与えられるビザもA、B、Cと、格付けされています。卒業大学、年齢、勤務企業、習得語学レベル、習得資格、技術別に点数が付けられ、85点以上は(イレベル人材に与えられるAビザ、60~85点は指導的役割の外国人に与えられるBビザ、それ以下は普通の外国人に与えられるCビザです。
 中国当局としてぜひ迎え入れたいのはAビザで「奨励ビザ」とも呼ばれています。Bビザは当局がしっかり監視、管理していく管理ビザ。Cビザは中国への流入を制限するための制限ビザ。日本人駐在員のほとんどはCビザだそうです。
 これは中国人や中国にいる外国人を管理しコントロールしているのが、法治ではなく中国共産党であり、中国においての秩序、信用は中国共産党が与えているのだということを示すための制度だともいえます。ですから当然、中国共産党に対する批判的な言動、思想も社会信用格付けの点数に入ります。このシステムは、中国共産党に批判的な人間をあぶり出す意味もあると思われています。
 この信用システム構築には、英国の「フィナンシャルタイムズ」などによれば、アリババのアント・フィナンシャルが自社の信用評価システム・芝麻信用のデータを提供するなど、民営IT企業やSNS、Eコマース企業など6社が協力しています。
 つまり中国では民営企業の顧客データが中国共産党の人民監視統治システムに普通に提供されるわけです。よくよく考えてみると恐ろしい話ではあります

宗教の中国化政策という異常

 習近平の宗教政策は、おそらく歴代中国共産党指導者のなかで最悪であり、その異常性
は習近平の数ある政策のなかでも突出している。
 2018年4月、中国は1997年以来2冊目となる宗教白書「中国の宗教信仰の自由を保障する政策と実践白書」を発表し、習近平政権における宗教政策の方向性を強く打ち出しました。そのキーワードは「宗教の中国化」です。
 白書によれば、中国はすでに五大宗教(仏教、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教、ヒンドウ教)人口が2億人を超える宗教大国となり、それに伴い、中国共産党による宗教管理の強化が必要だと訴えていました。ちなみにこの2億という数字は、中国共産党が認める宗教者数です。中国には中国共産党が公認する宗教と非公認の宗教があり、非公認の宗教は“邪教”として排除・迫害の対象となっています。実際の宗教人口はおそらくこの2倍以上。キリスト教だけでも1億人、仏教徒は最近では3億人前後という推計も出ています。
 党中央統一戦線部とは中国共産党と非中国共産党員との連携、チベットや台湾に対する反党勢力への工作を含めた祖国統一工作を担う部署です。宗教事務を祖国統一工作と一本化するということは、台湾統一問題とカトリック教、チベット問題とチベット仏教、ウイグル問題とイスラム教をセットで考えるという発想です。
 つまり、それぞれ宗教へのコントロール強化によって、その信者たちの思想を祖国統一へのパワーに結びつけるのが中国共産党の任務、ということです。逆にいえば、それらの宗教をきっちりコントロールできなければ、中国は“祖国分裂”の危機に瀕する、ということでもあります。
 中国の王朝の転覆はだいたい、異民族の侵入と体制内の分裂、宗教ブームが大衆の不満とセットになったときに起きていますから、宗教と民族問題をセットで考えるというのは中国の歴史と照らし合わせても妥当な考えなのです。
※異民族の侵入=米中貿易戦争、宗教ブーム=民主主義への移行、大衆の不満=貧富の差や殺人公害等々、体制内分裂=今後一層深刻化するのでしょう。
 

各地で起こり始めた。農民の反乱

 農村の抗議活動も増えている。農村の反乱といえば、有名なのは「広東省鳥坎村事件」でしょうか。村民が自治を求めて起こした抗議活動が最終的に認められて村の独裁者であった党の書記を追い出した事件です。
 2011年の胡錦涛政権時代末期に起きて、時の広東省の書記・汪洋が村の自治を認めるという決断を下した。ですが習近平政権になって、この村の自治は、村長が汚職容疑(冤罪だといわれている)で逮捕される形で潰されてしまいました。鳥坎村は今も厳戒体制で監視・管理されていると聞きます。
 胡錦濤政権までは農村から徐々に直接選挙制度を導入し、自治を認める方向を試みていく気配があったのですが、習近平政権はその方向性を完全に断ちました。むしろ農村を中国共産党を支える基層としてしっかり支配を固め、農村を人民公社時代に戻したいと考えているフシがあります。
 ほかにも投資被害、品質不良のワクチン接種による被害、環境汚染などの地方で起こりがちの事件をきっかけに数百から千人規模の集団抗議、暴動事件はネットの動画サイトやSNSを見るかぎり実に頻繁に起きています。
 “宗教の中国化”とは“宗教の中国共産党化”あるいは宗教の“社会主義化”といえるかもしれません。ですが、宗教の社会主義化など、本来ありえません。宗教を否定しているのがマルクスーレーニン主義なのだから中国共産党規約によれば、中国共産党員は信仰を持ってはいけないはずです。宗教が社会主義化するということは、つまり宗教が宗教でなくなる、共産党の道具と化すという事です
※「宗教の中国化」とは、宗教を異民族が行っている教育制度のようにとらえる。共産当の支配下に置き、社会主義化にそぐわなければ、異教として弾圧するという意味で、ウイグルやチベットで現在継続されている弾圧と同じことを意味しているのです。

仏教の堕落

 仏教の問題も深刻です。仏教の場合は腐敗がめだっています。中国共産党の宗教の中国化には、宗教の世俗化(堕落)も含まれているので、実は宗教界の腐敗も、中国共産党による一つの迫害の形なのです。
 中国仏教の腐敗を象徴する事件としては、喫緊では、中国仏教協会会長(仏教界のトップ)であった龍泉寺住職の釈学誠の尼僧たちに対する性虐待スキャンダルが有名でしょう。
 このスキャンダルが暴露されたために、釈学誠は8月15日に中国仏教協会会長を辞職、公的役職はすべて辞任させられました。しかし、スキャンダル発党から半年近くたった今なお、司法機関に送致される気配も、公式の処罰も発表されていません。それは釈学誠は習近平と関係が深いからだといわれています。
 宗教の自由が根本的に認められていない中国で、仏教界では政治権力と癒着する“政治和尚”が実は頻繁に登場しています──日本では共産主義社会主義にかぶれる仏教徒も多数いる──。彼らはスキャンダルが暴かれても、裁かれないのです。それは中国の宗教政策と合致しているから
 学誠のスキャンダルは欧米メディアも「袈裟をまとった悪魔」などと報じ、国際社会に知れ渡りましたが、結局、学誠事件は立件もされませんでした。学誠はスキャンダル発覚後、福建省の荒田の禅寺に移送され、閉門過思(閉門蟄居)という名目で、悠々自適に暮らしているようです。
 この寛大な処分は習近平自らが決めたそうで、習近平が「努力懺悔の余生を安らかに過ごさせよ」と命じたとか。習近平は福建省省長時代から学誠と昵懇であったらしいのです。学誠の中国仏教協会会長就任も習近平が後押ししたという説があります。
 習近平肝入りの「宗教の中国化」とは、宗教界を含む文化界エリートに対する党による統制を強化するのが狙いで、統戦部下に宗教局を置いたのは、宗教の国際交流を通じた中国共産党の影響力拡大を狙ったものともいわれています。国際派の学誠の活躍は、まさに習近平の宗教政策を体現したものでした。
 特に最近は若者の仏教ブームのせいもあって、信者も急増中でした。玄奘三蔵──日本人の三蔵像は中国からのもので、仏教発祥地のインドでは只の乞食とされている──といった歴史的スターを擁する中国仏教は、国際社会から憧れと尊敬も得やすく、国際社会への発信力・発言力も強い。だからこそ、中国共産党は仏教界へのコントロールを強化し、強化した分、より多くの利権供与があり、“政治和尚”と呼ばれる中国共産党に従順で権力と金にまみれた僧侶が生まれやすい土壌ができていたのだと思います
※孔子と言う有名人をスターに祭り上げ、儒教をして世界中に講師学院を設立し、中共の工作の拠点としていたのは有名です。これと同じことを、仏教やキリスト教にも求めているのです。これが宗教の中国化の実態であり、心の平安や人の用の安寧を、「神の法」「徳」「慈悲と愛と律法」で希求する宗教の抹殺に他なりません。
 “政治和尚”たちは、「習近平は菩薩の化身」などと発言する代わりに、多少の乱行、腐敗を黙認されてきました。たとえば、愛人、横領、収賄スキャンダルを弟子から暴露された少林寺住職・釈永信(中国仏教協会副会長)も、今に至るまで失脚していません。
 少林寺は中国共産党が宗教活動現場で国旗を掲揚しなくてはならないという決定を2018年7月にして以降、率先して国旗掲揚式を開き、恥ずかしいまでに習近平政権にすり寄っているからだといわれています。
 近年は“仏教版一帯一路/儒教版/キリスト教版 … ”ともいえる中国主導の仏教界国際交流を進めていることもって、釈永信や学誠のような国際派でビジネスセンスに長けたインテリの僧侶は優遇されてきたのでした。
 ですが教義を守るより中国共産党への媚びを優先させる宗教人に宗教的良心や自分を律する厳しさがあるわけはなく、中国共産党が宗教へのコントロールを厳格にするほど、聖職者は欲望のコントロールが不能になっていきます。
 中国の歴史を振り返れば、王朝の転換期には必ずといっていいほど新興信仰が急速に広がりました。
 後漢末期に起きた黄巾の乱は太平道という新興宗教によって結束した農民の反乱でした。元末期の農民反乱、紅巾の乱は白蓮教を紐帯としていました。清朝を弱体化させた太平天国の乱は拝上帝会というキリスト教信仰が農民反乱軍のよりどころでした。清朝末期に排外運動を各地で起こした義和団は白蓮教の一派ともいえる宗教結社で、彼らの蜂起に押されて清朝政府は列強との戦争を始めました。
 宗教は個々の人々を結束させ、命すら捨てさせる勇気を与えます。
 現世に不満を抱く人々に来世の幸せを約束するものもあります。大衆の現世政治に対する個々の不満を大きな変革の波にする力があり、これが末期を迎えていた政治体制、王朝に止めを刺すのです。
 そう考えれば、中華民国を追い出し中国人民共和国を打ち建てた中国共産党白身も一種の宗教結社みたいなものかもしれません。共産主義というのは、資本主義の発達のなかで朽ち始めたキリスト教的価値観に失望した人々が見出した新たな精神的よりどころ、という意味では信仰に近いかもしれません。(※ダビデが人類に与えたのが人類をほぼ美に導く共産主義思想で、原点は、反神=サタン、ヨハネの黙示禄にあります。)
 毛沢東はその共産主義思想を中国人が受け入れやすいように、中華思想に適応するように翻案して、中国の農民に広めた教祖のような存在といえるかもしれません。自分かその神になって中国中に浸透させることができたのです。
 一方、共産主義・社会主義は今や世界では完全に否定され、ほぼ忘れさられています。歴史がそれらを欠陥品だとして否定したのです。

キリスト教弾圧

 もう一つ、習近平が目の敵にして弾圧している宗教に、キリスト教があります。習近平政権は2018年9月にバチカンと司教任命権をめぐる対立について歴史的合意(暫定合意)をして、あたかも2019年にも中国とバチカンの国交が回復するような予測もあります。
 キリスト教を弾圧するような中国と、バチカンが本当に国交を持てるのでしょうか。バチカンは中国でカトリックを広く布教したいと考えているようですが、中国はキリスト教も“中国化”したいと考えているのです。むしろ、バチカンは中国に譲歩し、妥協し、利用されるのではないか、という懸念を持つ人たちもいます。
※カトリック教会の児童性的虐待が長年にわたり隠蔽されてきて、世界中のキリスト教徒からの信頼を失いつつあり、キリスト教離れが加速している。そんな時、中国における数億人の信者獲得は、スキャンダルを神の前に謝罪し厚生の機会を得るよりも、彼らキリスト教幹部にとって多いな利権となっている。
 なぜなら、暫定合意したのちの2018年12月、バチカンは中国福建省閨東教区の地下教会司教だった郭希錦を同地区の政府公認教会の副司教にしたのです。
 司教の地位は北京当局の任命した司教、急思禄に譲られました。郭希錦はバチカンが任命した司教であり、長らく中国当局はその地位を承認してきませんでした。
 地下教会司教として過去に何度も拘束、訊問され、虐待され、バチカンと中国が司教任命権をめぐる交渉を水面下で行っていた最中の2018年3月にも、地元警察に身柄を拘束されていました。
 バチカンと中国が9月に司教任命権問題で“暫定合意”に至り、中国当局が勝手に任命し、バチカンから破門されていた7人の司教に対して破門を取り消しましたが、まさか地下教会の司教を政府公認教会の司教の下につけることに同意するほどに、中国のいいなりになるとは誰も思っていなかったので、このニュースは宗教界に大きなショックを与えました
 郭希錦はバチカンの判断に従う意思をすでに表明しており、12月14日までに、譲位式が執り行われました。
 よりショックであったのは、習近平政権下のカトリックを含むキリスト教弾圧は文革以降過去最悪といわれる苛酷さで、それにバチカン側がほとんど何も言及していないことでした。最近起きたキリスト教弾圧を振り返ってみましょう。
 四川省成都の秋雨聖約教会が、2018年12月に大弾圧にあっています。この教会はカトリックではなく、カルバン派の牧師、工怡が指導者で、2005年に創立。王怡が妻とともに逮捕されたほか、100人以上の信者らが逮捕、拘束され、国際社会も大いに注目していました。
 この一斉拘束の際、非暴力を掲げる信者たちに警察は武器を使って威嚇しており、まさに羊の群れに躍り込んだ狼の様相であったとか。45歳の王怡は政権転覆罪で起訴される可能性があり、有罪判決が出れば懲役15年の刑が科される可能性が指摘されています。彼は決して反政府的な人間でも過激宗教家でもなく、2004年には中国で最も影響力のある公共知識人の一人として「南方人物週刊」に取り上げられていました。
 2018年9月には北京の錫安教会が取り壊されました。「民政部に登記のないまま、勝手に社会組織を名乗り活動を展開し、社会組織管理秩序を乱し、社会団体登記管理条例、違法民間組織取締り暫定弁法などの規定に違反」しているという理由です。
 この教会は2007年に創立された北京最大の家庭教会で、もともと7つの礼拝堂を持ち毎週1500人が礼拝に参加していました。過去、何度も弾圧をうけ、潰されかけそうになりながらも熱心な信者たちに守られてきたのですが、2018年以降、周辺には顔認証監視カメラが設置され、教会内にも盗聴器が仕掛けられ、監視が強化されました。警察は牧師たちを個別に尋問してスパイがいるなどと吹き込んだり、家族が入院中の牧師に対して協力するならば万元単位の入院費を肩代わりしてやるといった買収を仕掛け、揺さぶりをかけていました。
 4月以来、9月までに7つの礼拝堂のうち6つが閉鎖に追い込まれ、9月9日には最後に残った礼拝堂に警察官70人が踏み込み、教会や牧師の個人所有物を押収、強制立ち退きを行いました。指導牧師の金明日は「教会に物件を貸していた家主が政府から強い圧力を受けて、契約を中止したいと頼んできたので、我々は閉鎖せざるをえない。だが新しい場所を借りることはもう不可能だろう」と語っています。
 このほか2018年2月以降、漸江省や河南省の家庭教会や地下教会の弾圧、閉鎖が続いています。河南省南陽市で10年の歴史をもつ光彩キリスト教会は9月、警察が突然やってきて教会の十字架を撤去、聖書その他の教会の所有物を押収し、絵画や設備の破壊を行いました。河南には500~600万人のキリスト教徒かおり、光彩教会はその信仰の中心地の一つでした。河南では家庭教会だけでなく、政府公認の三自愛国系の教会ですら十字架撤去を強制されています。
 在米華人キリスト教支援組織の「対華援助教会」の調べによれば、2017年の一年間で、中国国内で宗教的迫害を受けた人数は22万人。これは2016年の3倍半増で、文革以来最も宗教弾圧の厳しい時代であるというのは間違いなさそうです。
 習近平政権がキリスト教弾圧をエスカレートさせているのは、キリスト教徒が急速に増えているからです。2010年の社会科学院のリポートによれば中国のキリスト教徒は2300万人。2018年4月に発表された宗教白書によればそれが3800万人以上。10年にも満たない時間で65%の増加で、中国共産党員が増えるよりもよっぽど多い。この数字は非公認教会の信者の数字を入れていないので、全体では1億人近いのではないか、という推計もあります。つまり、中国共産党9000万人より巨大な勢力なのです。
 博希秋は、“習皇帝”の統治下では、キリスト教の中国化、宗教の中国化か叫ばれている。主な目的は中国共産党がすべての宗教組織および独立傾向の強い宗教団体及び個人を絶対的にコントロールすることだ。(2015年の)漸江省の強制十字架取り壊し事件などが起きたあたりから、中国共産党内部文書で“キリスト教の増長と過熱的発展を抑制する”ことが目的だと通達されている」と語っています。
 キリスト教の発展の背景は、博希秋によれば、“中国共産党の暗黒政治、マルクス主義や無神論思想の破綻”が原因のようです。中国共産党体制のもと唯物主義、拝金主義がはびこり、人々の道徳や誠実さの水準が地に落ちたとき、人々が信仰を求めたのです。それがある人にとってはキリスト教であり、またある人にとってはイスラム教であり、チベット仏教や仏教であったということでしょう。
 私か北京に駐在していたころは、確かに家庭教会はさまざまな迫害を受けていましたが、家庭教会信者は非暴力で自己主張も強くないので、中国社会に静かに根を張り、広がっていました。まさか、今日のように暴力的な手段で、人々の信仰が剥奪されるとは、当時は考えてもいませんでした。しかも、それがバチカンと中国の国交正常化が秒読みといわれる状況下で行われるとは。
 習近平の宗教政策とは、公認宗教は完璧に中国化して管理・コントロールし、非公認宗教を殲滅し、中国共産党が管理・コントロールできないものを一切許さない、という方針なのだと思います。となると、バチカンと国交が回復しても、本当のカトリックが中国で布教されることにはならないのです
 閥東教区に倣って、各教区では中国共産党・公認教会のもとに下るのが、バチカンの指示であるという解釈が広がっています
 これを「バチカンの指示」として受け入れた寧夏教区の地下教会の神父・王沢義が公認教会に入ることを公表すると、同じ教会の同僚や信者だちから「軟弱者」「裏切り者」と批判を浴び、教会から離れた信者もかなりいたそうです。地下教会が分裂しかかっていることは、中国共産党の「宗教の力の淡化、宗教の中国化」という狙いに利することだと、危機感をもつ信者もいるそうです。
 香港教区司教の陳日君は11月に突然、隠居宣言を行いました。86歳の彼はこれまでバチカンの親中路線に非常に危機感をもち、これを推し進めているバチカン・ナンバー2枢機卿のピエトロ・パロリンを名指しで批判してきました。でも、彼は今後について「同じ宗教間で戦うことはできない」と語り、修道院に籠って隠居生活を行うということです。
 敬虔な信者たちの間にはこのように悲観論が広がっています。確かに、過去にドイツ・ナチスのアドルフ・ヒトラーはバチカンを利用し、ローマ教皇ピウス12世は結果的には、ユダヤ人虐殺を食い止められなかった教皇という汚名をかぶせられました。ですが、ヨハネ・パウロ2世は旧ソ連や東欧の民主化を後押しし、東西冷戦終結における重要な役割を担いました。
 バチカンは、時代の節目節目で国際政治のギアチェンジの役割を担い、おそらく今もそれだけの影響力を持ちうる国家です。現ローマ教皇は2019年内に日本を訪問したいと言っているそうですが、中国との国交回復交渉の行方しだいでは、同じころに中国訪問を実現する可能性はゼロではないでしょう。
 そうなったとき、非公認を含めて中国に住む億単位のキリスト教信者の心にどのようなインパクトを与えるのか … 。

台湾の危機

 鄧小平は資本主義と社会主義、二つの異なる政治・経済システムを一つの国家で併存させて運用する、というつもりで「一国二制度]という言葉を使っています。ですが、習近平が使う「一国二制度」は、今の香港の現状をみれば、そういう意味にはなっていません。(※一国二制度は、民主主義国家などの他国を中国化するためのステップの一つで、まずは香港化し、次に、ウイグルやチベットのような完全中国化です。)
 香港はほとんど完全に中国化され、司法の独立も経済の自由も「中国共産党の指導の下」という枠組みの制限がついています。中国共産党が許す範囲の司法の独立であり経済の自由なのです。それは中国国内で使われる自治区も同じで、建国当初、自治区が誕生したときは、民族自決が建前としてありました中国が東トルキスタンやチベットを征服できたのは、ウイグル人やチベット人に共産主義革命に共鳴する協力者がいたからこそですが、彼らはレーニンの民族自決論に共鳴していたのです。結果として、中国共産党は民族自決どころか民族そのものを中国化することで消し去ろうとしていますし、自治区の意味など雲散霧消しています
 なので、習近平がいくら「統一後の台湾同胞の私有財産や宗教信仰、合法権益は十分に保障する」と言っでも、それが墟であることは香港の例を見ればすぐにわかるわけです。また江沢民も使った「中国人は中国人を攻撃しない」という表現も、台湾人自身の過半数から8割前後が「自分は台湾人であって中国人ではない」というアイデンティティを持っている現状では、台湾にとって何の安全担保にもなりません。むしろ「中国人は中国人を攻撃しないが、台湾人ならば攻撃する」というニュアンスすら感じます
 習近平が打ち出した台湾政策は、表現こそ「江八点」と共通点が多いのですが、全体としては、過去にないほど本気で台湾を恫喝しているのです。さらに言えば江八点が発表されたときの台湾は、稀代の老獪な政治家、李登輝が国民党現役総統の時代でした。李登輝と江沢民であれば、政治家の力量とすれば間違いなく李登輝か上です。実際に台湾海峡危機が起きたとき、李登輝政権は堂々と張り合い、そして外交的に勝利しました。今の蔡英文総統は傍目からみても当時の李登輝総統に遠く及びません。しかも今の中国は江沢民時代より軍事的にも経済規模としてもずっと強大になっています。台湾にしてみれば、中国が本気で統一に動き始めたと感じるのではないでしょうか。
 この「習五条」に対して即日、蔡英文政権は毅然と反論し、明確に「一国二制度は絶対に受け入れられないことは台湾の共通認識」と拒否し、92年コンセンサスについて「終始認めたことはない」との立場を久々に言明しました。さらに台湾の人材、資本を大陸に吸収するような中国利益のための経済統合に反対し、台湾ファーストの経済路線を主張。国際企業に「台湾」名称を使うなと圧力をかけたり、台湾の友好国に札束で断交を迫るやり方を批判し、「どの口で“台湾同胞と心の絆”とか言うのか」と言わんばかりの拒絶を示しました。
 また「民主的価値は台湾人民が非常に大切にしている価値と生活様式」「大陸も民主の一歩を勇気をもって踏み出したらどうか」と呼びかけ、中国が民主化しない限り統一はありえない、という姿勢をはっきりさせました
 ですが米国が台湾の民主主義と独立性を守ることが自国の利益であると考えている以上、台湾に手を出せば米中戦争に発展しかねません。その上で中国に今、米国と本気で戦える意思や能力があるかといえば、ほとんどの人がないと言うでしょう。だから、可能性としては非常に低いのです。
 習近平政権の任期はひとまず2022年までですが、2020年1月には台湾の総統選があり、秋にはアメリカの大統領選もあります。また、バチカンが台湾と断交して中国に乗り換えるなどの国際環境の変化もあるかもしれません。台湾総統選の前の2019年暮れはものすごく緊張が高まるのではないでしょうか。そして、自分が失脚するくらいなら、負ける可能性があっても戦争の一つくらいやってしまう、そういう危うさを習近平には感じます。台湾に直接攻め込むことが難しいと考えれば、台湾が実効支配している太平島(もしくは、尖閣)を、他の南シナ海の島嶼と同じような方法で台湾から実効支配権を奪おうとするかもしれません。
 米国防情報局(DIA)が発表した「2019年中国軍事パワー」リポートでは、「中国の巡行ミサイルなど打撃兵器はすでに米国など西側先進国と同水準」「中国の兵器システムの一部の領域は世界最先端水準」「解放軍は自軍の戦闘能力に自信を深めており、最終的には中国指導部に部分戦争を発動する冒険を侵させうる」といった分析を出しています。この場合の「部分戦争」として一番想定されるのが台湾であり、米国防省関係者のなかには中国による台湾有事を現実感をもって予想している人もいるのです。
 最大の心配は、習近平のやけくそだけではなく、中国が技術的成熟や軍制改革の実施を行い、解放軍の実力を理解してきたとき、中国が一つの臨界点に達すれば、軍事力の使用で地域の衝突問題を解決しようとすることがありうること、北京の解放軍実力に対する自信の度合いによっては、軍事力による台湾統一という選択肢を取らせる可能性があること。だからこそ、米中貿易戦争が最良の手段なのです!

香港の中国化は軍事力で有無を言わせず

 港濆珠澳大橋の建設において、国家一級保護動物の中華白海豚がこの工事により3分の1ほどに激減したともいわれています。(※辺野古で本当かどうかも分からないジュゴンを政治利用している反日・反米の人々が、中国大好きなのがよく分かります。)
 そもそも一国二制度で守られていたのは何であったか。かつては「港人治港」(香港人が香港を統治する)のフレーズで表現された「香港の主権」というものが存在していました。ですが、その「香港の主権」はすでにありません。実際、「主権」「自決」といった言葉はメディアなどで使われなくなってきました
 「香港主権」を声高に言えば、それは中国の主権を否定すると批判され、「香港自決」と言えば、中国の香港統治を否定しているのか、と難癖をつけられるようになってきたので、メディアや公式の場で発言する人は中国当局から目を付けられないように、そうした言葉を自粛するようになってきた。劉小麗は立法委員に当選後の2018年に、九龍西区の補選に民主派工党から出馬するのですが、立候補資格を剥奪されました。これも劉が政治信条に香港主権、主権在民と語ったためだといわれています。
 香港大学学生会の刊行物『学苑』が高速鉄道の「一地両検」が中国による「香港主権」の侵略の先例となった、と書いたことを、親中派の香港文匯報によって「大学は独立派と手を結んで、学生に『起義』を扇動している」と猛攻撃している例などもあり、言論の自由は急速に狭められています。
 言論の自由といえば、外国メディアに対する言論統制が香港で行われるようになったのもショックなことです。英国「フィナンシャルタイムズ」香港駐在記者であるビクター・マレットのジャーナリスト・ビザの更新を香港政府が拒否したことは、香港で中国並みの外国人記者に対するコントロールや取材介入が始まったことを意味します。マレットはFCC(外国人記者クラブ)の会長で、8月にFCCが主催する講演会講師に香港独立を主張する政治団体「香港民族党」の創設者・陳浩天を招いたことが、原因だと疑われています。香港民族党は7月に活動禁止を言い渡されていましたが、FCCとしてこうした人物を講演会のゲストに招いて、会員記者たちに取材機会を提供すること自体は、これまでの香港ならばなんら問題がなかったはずです。そもそも香港民族党の活動禁止措置は、香港が一国二制度で保障していたはずの「結社の自由」に反するという見方もあり、香港社会の利益を考えるなら、自由な論議を呼ぶ必要があるテーマでした。
 もう一つ、懸念が深まっているのは、解放軍香港駐留部隊やマカオ駐留部隊の存在感の急速な拡大です。激しい台風が相次いだ2018年、香港の被害は甚大でした。10月13日、香港駐留部隊400人が、台風22号で倒れた樹木などの撤去作業を「ボランティア」で行いました。
 ありかたいと手放しで称賛できないのは、香港政府からの要請なしで、解放軍自身が判断して動いたからです。こんなことは1997年の中国への返還後初めてのことです。香港駐軍法の規定では、解放軍駐留部隊は香港の地方事務に干渉してはならないことになっていて、香港政府の要請に応じての活動ならいいのですが、そうでない場合は香港の主権を犯したといえます。しかも軍服着用での活動ですから、軍の任務として動いたわけです。
 つまり香港政府を経由せずに解放軍が(おそらく北京の指示に従って)出動したわけで、香港人にしてみれば、これは軍が香港政府を無視してよいという前例になりかねない、と心配するでしょう。中国にすれば、軍事主権を握っているのは自分分たちであるということを、この際はっきり示そうという魂胆なのかもしれませんが。

静かな全人代に見る“習近平の敗北

 2019年3月に中国の国会に相当する全人代が開催されました。秋の中央委員会総会を経ずに春の全人代が開催されるというのは非常に珍しい事態でしたが、意外にあっさり閉幕してしまいました。
 本来、秋に開かれる中央委員会総会で決定した政策や方針が翌年春の全人代と全国政治協商会議(全国政恊、日本の参議院に相当)で政府の政策、方針として決定されます。党の政策、方針と政府の政策、方針は完全に一致していますから、全人代の場というのは、党中央での決定事項のお披露目の場、国内外への公表の場以上の意味は実はありません。
 外国メディアが直接取材できるのは全人代、全国政協だけですから、日本メディアなどには全人代の記事が大きく出るわけです。今回の全人代は、その前の秋の中央委員会総会(四中全会)をスキップして行われた異様な全人代だったのです。ですがその異様さにもかかわらず、普通にさっと終わってしまいました。
 逆にいえば2018年の全人代は、習近平がいきなり憲法改正を行い、個人長期独裁の野望を打ち出した劇的なものだったということです。
 習近平の個人独裁の野望はそれから一年、主に米国の圧力と国際社会からの反感と党内の批判によって抑え込まれ、2019年の「静かな全人代」つまり、習近平がほとんど存在感を発揮しなかった全人代となったのです。これはこの一年間で習近平のやろうとしたこと、政策も含めてすべて“敗北”したと結果でしょう。

国力不足の日本は米国の補佐に徹しよ!

 社会科学院のリポートなどを参考にすれば西側の普遍的価値観とは一般には、自由、民主、人権の3つが挙げられています。もう少し具体的にいえば民主主義の政治システム、すなわち法治や三権分立、基本的人権、思想や言論、信仰の自由、私有財産やプライバシーなど様々な私的権利の保護などでしょうか。道義国家を目指す、法治国家日本としては、この西側の価値観を受け入れることができています。
 国家が目指す富強・民主・文明・和諧は、中国共産党主導の富国強兵を実現した民主集中制(独裁)政治で、中華秩序的枠組みによるヒエラルキーで安定・調和し繁栄した社会のことです。つまり、党の指導の下の公正、法治があるだけです。個人に対しては、共産党に対する愛国、敬業、誠信、友愛を求められますが、個人の権利や自由を認める価値観はありません。こういう中国の社会主義的核心価値に加えて、中国には人は生まれながらに平等ではないという神話の時代から受け継がれている中華的価値観が根っこにあります。
 近代に入り、優れた中国人のなかで選び抜かれた人間が中国共産党に集まり、そのトップを形成する習近平を核心とした党中央が、無知蒙昧な人民を指導し管理し、野蛮で暴力的な、礼を知らない異民族の外国に徳と文明を分け与えてくれるわけです。習近平の掲げるスローガンという人類運命共同体は、そういう華夷思想の船に各国が乗ることで、船長は中国共産党と習近平自身。つまり「中国共産党版冊封体制」を習近平は思い描きながら、一帯一路戦略や太平洋二分割統治論などをぶち上げているのだと思います。
 はっきりいって、日本人としてはその船に乗りたくはありません。しかし、アジアやアフリカのなかには、こうした中国に依存していく外交が楽だと思う国も結構あります──※楽をしようとした結果、「債務の罠」にはまり、国を乗っ取られるる国々が多数です──。
 ■産経:国民の過半数が国外流出?トルクメニスタン、中国の「債務の罠」で 2019/07/11
 閉鎖的で強権的な政治体制から“中央アジアの北朝鮮”とも呼ばれる旧ソ連構成国、トルクメニスタンで、経済危機により同国の推計人口550万人のうち300万人以上が国外流出し、国内には200万人しか残っていない-とする専門家の見解を、ロシアの有力紙、独立新聞が伝えた。主要な外貨獲得源である天然ガスのパイプライン建設で中国に債務を抱え、ガスを安価で買いたたかれる、いわゆる「債務のわな」に陥っていることが経済危機の主な要因だという。尚、同国は91年に旧ソ連から独立。天然ガスの推定埋蔵量(2017年末時点)が世界4位。
 ですが中国共産党の存在意義や執政党としての正統性の根拠は「中国共産党が旧日本軍と戦って勝利した」(という中国共産党の主張)にありますから、中国が「反日」の看板を下ろすわけにはいかないのです。それこそ中国共産党体制が崩壊しない限り、中国は「反日」をやめることができません。また、日本の独力では軍事力も外交力もありませんから、ロシア同様日本のことを米国の傀儡、属国として見下しています。ですから、日中間に真の信頼関係は築けないという前提で外交を行わなくてはならないのです。
 しかし、性善説で能天気な日本人は、中国人の発する詐欺師的親日に対して、この前提を日本は忘れてしまい、毎度毎度、人・物・金のみならず、陛下を政治利用させてしまう結果になっています。
 今の日本の立ち位置は、米国の同盟国としての忠実な立場を変えることができないと同時に、中国とは絶対に真の信頼関係は築けないというところにあります。
 日本の外交路線は、少なくとも当面は、日米関係の安定を最優先させる外交を心掛けるべきです。もし、日本が米中の架け橋になると考えているのならば、残念ながら、今の日本にはそういう外交ができるほどの国力・実力(軍事力、経済力、インテリジェンス他)はないと思います。
 でも基本は軍事力です。ロシアが、経済規模は韓国以下であっても大国扱いされるのは軍事力や兵器開発力が世界上位にあるからです。
 日本の自衛隊は近代少数精鋭防衛力といわれていますが、日本には交戦権が認められていないので、国防力として正式には評価されていません。また、自前の兵器開発もできず、国防軍と呼ぶにはあまりにも制約が多すぎます。防衛費も先進国のGDP比レベルにはまだまだ達していません。国際社会では所詮、米国の軍事力の傘の下に安住しているお花畑のような国家扱いです。




米中冷戦の正体 馬淵・河添著』

 共産主義の悪魔そのものの本質について、ずばりと述べられています!是非、ご一読をお勧めいたします。

 ◇ ◇ ドルの発行権は手放せない

 ディープステートにとって、ドルの発行権は絶対に手放せない特権なのです。事実、通貨発行という特権に挑戦した人統領は、過去すべて暗殺または暗殺未遂を経験しています。第7代アンドリュー・ジャクソン人統領(暗殺未遂)、第16代エイブラハム・リンカーン大統領(暗磐、第20代ジェームズ・ガーフィールド人統領(暗殺)、第35代ジーン・F・ケネディ大統領(暗殺)、第40代ロナルド・レーガン人統領(暗殺未遂)です。
 1837年に暗殺されかけたジャクソン大統領は、「銀行は私を殺したいだろうが、私が銀行を殺す。お前たちは腹黒い盗大の巣窟だ。私たちはお前たちを一掃する。永遠なる神の力によって、お前たちを必ず一掃する」「私立の中央銀行が存在することによって、我々の政府から恩恵を受けるのはこの国の市民ではない」「800万ドル以上の中央銀行の株は外国人が所有している。この国に全面的に結びついていない銀行に、我々の自由と独立が侵される危険があるのだ」などと発言したようです。
 1861年に大統領に就任したリンカーン大統領は、「政府は政府の費用をまかない一般国民の消費に必要なすべての通貨を自分で発行し流通させるべきである」「通貨を作製し発行する特典は、政府のたった1つの特権であるばかりでなく、政府の最大の建設的な機会なのである」「この原理を取り入れることによって、納税者は計り知れないほどの金額の利子を節約できる。それでこそお金が主人でなくなり、人間らしい生活を送るための人間の召使いになってくれるのだ」などと語っています。
 そして、1862年に法貨条例を制定し、1865年、グリーンバック=政府発行紙幣を合衆国の永続的な通貨発行システムとする意向を発表したところ、1ヵ月後に劇場で銃撃されました。
 さらに、「我々の国では、お金をコントロールする者が産業や商業の頭となっている」と語ったガーフィールド大統領は、1881年3月の就任からわずか4ヵ月で首都ワシントンD.C.で銃弾に倒れました。
 ケネディ大統領が1963年6月4日に、FRBの持つ「通貨発行権」を合衆国政府の手に取戻す目的の大統領行政命令11110号に署名したこと。同年11月22日に訪問中のテキサス州ダラスで暗殺されたことは、ショッキングな映像と共に記憶に新しい現代史です。

リンカーンとケネディの共通点

 リンカーンは1860年に大統領に選ばれます。ケネディはその百年後の1960年に選ばれ、議員に選ばれたのも1847年と1947年で百年後。
 両大統領は妻の目の前で金曜日に暗殺され、後を紲いだ大統領は2人ともジョンソンで、1808年生まれと1908年生まれ。リンカーンの秘書の一人はケネディで、ケネディの秘書の1人はリンカーンだった。リンカーンを暗殺したジョン・ウィルクス・ブースは1839年生まれで、ケネディを暗殺したとされるリー・ハーヴェイ・オズワルドは1939年生まれ。
 百年の差がある2人の大統領暗殺者は、両者とも裁判にかけられる前に殺害された。悪魔の仕業か偶然か……。
 アメリカは民主主義の国だと我々は洗脳されていますが、実は違います。「影の国家」としてのディープステートが存在していて、彼らがアメリカの大統領のキングメーカーになってきました。ディープステートは政治の舞台には立たず、その時々で自分だもの利益につながる都合のよい政治家を応援して、大統領にしてきたのです。
 キングメーカーを続けてきたのですから、「真の支配者」という意味で捉えるべきでしょう。トランプ大統領の前のオバマ大統領まで、そうやってディープステートが大統領候補を選んできました。すなわち、国民はラバースタンプを押すだけ。彼らからすれば民主党・共和党、どちらの候補が大統領に選ばれてもよかったわけです。
 それから、ディープステートはアメリカの国内問題だと思っていますが、そうではありません。日本の学者も99.9%までアメリカのディープステートをアメリカそのものだと認識して議論していますが、暗殺または暗殺未遂に遭った歴代大統領の演説内容からわかるように、ディープステートはあくまでアメリカという国の中に巣食っているグローバリストたち、つまり国際金融資本勢力なのです。ワンワールド勢力の国際金融資本家が、ディープステートということです。しかも、ユダヤ系左派が大多数を占めていることも特徴です。
 これこそが大変に重要なことですが、世界の学者は誰もこのことに触れません。なぜかといえばディープステートが握っているものの中には教育界、言論界、それから学界すなわちアカデミイズムもあります。彼らに逆らったら、出世できません。大学教授の椅子そのものを失う。もしくはクビ。そういう監視の目が張り巡らされているんです。まさにディープステート、影の国家です。政界ではネオコン、議会もある意味で彼らの手足だったのです。(※これって、IT監視国家の共産中国とそっくりです!)

 ◇ ◇ 共産主義・グローバリズムは世界の富豪たちが作った

 NYで起きた同時多発テロに関しても衝撃的な内容を発表しているヒルダさんがロシア革命の正体を的確に表しています。
「共産主義は銀行エスタブリッシュメントを打倒ずるための大衆の創造物ではない。それは大衆を打倒し、奴隷化するための銀行エスタブリッシュメントの1つの創造物である。共産主義はモスクワ、北京、あるいはハバナによって運営されているのではない。それはロンドン、ニューヨーク、そしてワシントンD.C.によって運営されている」
 我々が知っている最初の共産主義革命はロシア革命です。ソ連共産主義は、アメリカのような資本主義を叩くためにできた、というロジックです。そして我々は「共産主義と資本主義は不倶戴天の敵だ」と洗脳されてきました。でも、そうではないことをヒルダさんはおっしゃっています。ロシア革命は「資本主義の最終段階として共産主義がある」という理論に基づいて起こされた革命で、なおかつ「ソ連共産主義を創ったのは、世界の大富豪たち」なのです。
 私は『国難の正体』でも書いていますが、世界の大富豪はコミュニスト、共産主義者なのです。「共産主義」というと、古典的というか狭い意味での共産主義ばかりが頭にあるから、「そんなはずはない」という拒否反応が返ってくるんですが、実はそうではありません。共産主義は端的には「世界統」思想」です。その意味では、共産主義というのは、アメリカやヨーロッパの国際金融資本家たちが世界を支配するためのイデオロギーの一つに過ぎません。
 彼らは20世紀の最初、あるいは半ば過ぎまでは、1917年にソ連を誕生させた10月革命、別名ボリシェビキ革命のような暴力的な共産主義革命で、世界をなんとか統一しようと考えていたんです。
 ところが、それは上手くいかなくなった。じゃあ今度はどういうやり方で世界を統一するか。そこで出てきたのが、グローバリズムです。私はそれをわかりやすく「グローバル市場化による世界統一」と言っています。我々が日頃よく耳にずる「グローバリズム」というのは、「共産主義(コミュニズム)」の今日的表現です
 国際NGOのオックスファムが2018年に発表した統計では、世界の富の82%が1%の富裕層(70~80人程度)に集中しているとのことです。富を持っている人は、さらに富を持ち、格差がそれ以外の人たちと広がっている。この集中度(格差)は、2017年から格段に進んでいます。
 これに関しても、ジャックーアタリが予言しています。「グローバル化した世界市場では、一握りの大富豪がすべてを支配する」と。これはビジネスのルールだけの話にとどまらず、グローバリストのために世界政府を創るということなんです。
 アタリの著書に記されていますが、世界で1つの通貨ができる。共通通貨を発行ずるんだから、世界で1つの中央銀行ができる。それから「財務機関」とアタリは表現しているんですが、世界全体の予算を決定する1つの政府を創るということです。だから、彼らの戦略は我々の目の前に突き付けられているのですが、彼らはそれを一般の我々が本当の意味に気づかないよう、メディアとか学者とかを通じて「グローバリズムは素晴らしい」「ナショナリズムは偏狭な右翼」という具合に、コントロールしています。
 日本人の大多数は、グローバルは素晴らしいと勘違いして
います。我々日本人の伝統的な発想(国体)とグローバリストの発想とはまったく違う。
 安倍首相がいくら頑張っても、日本の場合は経団連のメンバーはもちろん、自民党の大多数の政治家もグローバリズムにどっぷりと浸かっています(※財務省が率先して洗脳している … デフレと日本の経済成長・自立、大和魂の発露を抑え込もうとしている。GHQの現代版)。だから、日本政府が実際にやっていることは、内政面においてはグローバリズムの政策なのです。世界の富裕層に富が集中するのを助けるような国内政策を自民党の重鎮たちが推進しているというのが、今の日本の状況なのです(※それを先導しているのが財務省他、高級官僚)。だから、超格差社会になっているわけです。
 もちろん。1%の人が82%の富を有する、強烈な格差社会が、今後もっとひどい格差社会になるということです。そうなると、いわゆるグローバル市場になったら「そこでは紛争が絶えなくなってくる」り、格差がさらに拡大して、持てる者と持たざる者との血みどろの紛争が起こる。
 するとその後、世界はどうなるか?人類はその紛争を抑えてくれる権威を、つまり世界に秩序をもたらしてくれる新たな権威を必要とするようになる。その権威は何か?それが「世界統一政府」なんのです。
 つまり、そんな「乱れた世界=グローバル市場」よりも強権的にしろ、治安の安定化をもだらしてくれる政権の方がいいと叫ぶ。たとえそれが独裁政権であっても。これは我々の性でもあり、弱みでもあるわけです。だから彼らはグルーバリストが支配するそういう世界を想定しているわけです。(※中共の支配下にあるIT管理社会とそっくりで、中共を放置すれば彼等グローバリストの計略と衝突する)⇒[人民監視を行う為の社会スコアー制度──皇帝独裁が目的]参照

 ◇ ◇ 共産主義犠牲者の国民的記念日

 共産主義犠牲者の国民的記念日」(National Day for the Victims of Communism)」が、2017年11月7日にアメリカで策定されました。
 共産主義国家でどれほどの人間が犠牲になったのか。たとえばカンボジアのポル・ポト政権でどれほどの人が大虐殺されたか。本丸は毛沢東時代の大躍進、文化大革命、そして習近平政権に至るまで、中国共産党の政権下でどれほどの人が死んだか、ウィグルやチベットなどでどれほどの人たちが虐待を受けているか、その真実を世界に流布することではないかと見ています。
 中国国内では、かつてから現在進行形でウィグル氏族のジェノサイドが続いているのですが、この1年ほど、アメリカをはじめ世界で反習近や政権に絡めて「人権」もキーワードに大きくクローズアップされています
 アメリカの若者たちに、共産主義の恐ろしさを教える記念日を策定したことは、トランプ政権が共産主義を敵としているどころか、潰そうとしていることの布石だと思いました。
 共産主義の恐ろしさ、非人道性を、日本を含め世界の若者たちは知らなさすぎます。「社会主義」と言ったりするから訳がわからなくなるのです。搾取しかない独裁の共産主義を、北欧型の社会民主主義とごっちゃにしているみたいなのです
 たとえば社会民主主義的な国家であるデンマークでは、「1年間でこれだけの税収がありました。社会福祉にいくら、新規教育事業にいくら、難民関連にいくら使います」といったように、国家財政はすべてガラス張りになっています。政治家は例外なく、税金を納める国民目線、すなわち「国民ファースト」の政策をとっています。右派と左派の違いといえば、移民や難民のために計上する税金額が多少違う程度なのです。
 ところが、アメリカのミレニアム世代は、中国共産党への警戒心が希薄で、格差がない社会と勘違いしているらしいのです。(※日本も同じです)
 ソ連が崩壊して、共産主義国は中共や若干の周辺国が残りました。それで、もう我々は資本主義国家・自由主義国家が共産主義に勝ったとなんとなく信じ込んでいますでも、共産主義は全然滅んでいないんですそれはなぜかというと、アメリカ自身が共産主義者に牛耳られてきた国家でしたから、その事実は我々から隠されていました。(日本も同じです!)
 共産主義独裁国家・政権は何かというと、「あなたの幸せは共産党が決めます」ということです。あなたが何を考えるかは私か決める。つまり、共産党エリートが決める。民衆はただ黙々と、共産党に従っていればいいと。
 中国国民か中国人民か知りませんが、どうしたら幸せになれるかっていうのは、「それは中国共産党が決めることだ、あなたが決めることじゃない」っていうことなんです。それが共産主義独裁政権のポイントなんです
 彼らの思想は、もともと被害者意識から出ていますロシア革命を見ていると、まさに被害者意識そのものです。ロシア革命に携わった人たもの大多数はユダヤ系左派ですが、彼らは帝政ロシアに迫害されてきたという被害者意識の持ち主でした。革命はその被害者意識の裏返しなのです
 習近平政権も「屈辱の世紀」などと被害者意識を全面に打ち出しています歴史を捏造して、錬金につなげる被害者ビジネスにもいそしんでいますが、ささくれた、歪んだ心が原動力なのです。(※日本の共産党も、日教組も、中国韓国も … !)
 これは共産土義者に限らず、その他のいろいろな社会現象にも現れることですが、とても危険です。つまり、「被害者が正義」なのですから、自分たちをこんな目に遭わせた連中に対しては、何をやってもいい(※即ち、目的のためには手段を選ばず、殺人までも正当化される)のですだから、共産主義による大殺害は必然なのです
 共産主義の負の部分に関ずる研究は、1997年にフランスで『共産主義黒書』(ステフアヌークルトワ他著。日本語訳は筑摩書房)が出版されてベストセラーになっています。それによれば、世界の共産主義者は約1億の人類を殺している。本当はもっと多いのですが、中国だけでも1億人ほどの人々が虐殺などの犠牲になった
 共産主義が実は殺人思想であるということを、ほとんどの人が知らないのです。逆に共産主義のバラ色の世界観だけがロシア革命以降、世界に広められてきました
 我々日本人は共産党独裁国家のやり方というものを、まったく甘く見ています。それはソ連と同じで、私はソ連時代を経験しているから、ある意味で自信を持って言えますが、共産主義独裁体制は「悪」、さらに言えば「人類の敵」なのです
 だから、口に出して言わずとも、実際面においてはそれが人類にとっての敵だということを認識しながら、共産主義独裁政権に対応しなくてはなりません
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